アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
66
-
「……」
体育倉庫の前まで来て扉を開けて、その場に立ち止まった。
…入りたいのに、中に足を踏み入れることが出来ない。
グラウンドの方では澤村くんたちが待っているのに、片付けなきゃいけないのに…足は動かない。
俺の中を支配するのはーーー"恐怖"。
深呼吸をして、何とか足を動かし一歩、倉庫の中へ足を踏み入れた瞬間、目眩がした。
よろけて数歩後ろに下がり、その場にしゃがみ込んだ。
白線引きはガシャンと音を立てて倒れた。
「はっ……はっ……」
ひゅっと喉が鳴った。
うまく、息が出来ない。
「ぅ……はっ……はぁっ……ッ」
「…椿葵くん!?大丈夫!?」
「何が起きてるんだ!?」
遠くの方で声が聞こえる。多分、俺が遅いから心配して、来てくれたんだ。
でも、目の前は真っ暗で何も認識出来ない。
「蒼衣!」
「はっ……はっ……」
「あの、椿葵くんが…!」
「蒼衣!大丈夫だから…」
ふわりと抱き締められ、耳元で声が響いた。
そこでやっと、視界に光が戻って来た。
そして呼吸も出来るようになった。
「ご、ごめ…もう大丈夫。みんなもごめん」
心配そうに俺を見ていたのは山崎くん、泊瀬くん、安西くんだった。
そして俺を抱き締めてくれていたのは、柊だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 371