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バカみたいな顔してるであろう今の俺に対し、
「まじだよ」
と軽く笑って言うと、また湊は続きを話し始める。
「結局自分もなんで朔が出てきたのかよく分からなくてその子にはいないって言った。いつも一緒にいるから、とか昔から一緒にいるからかなって思った。けどそのあと、朔がにこにこしながら帰ろうって言ってきたときに胸がなんか、こうキュッて締め付けられるような感じがしたんだ」
そう言うと、湊は自分の胸元に手を当てて、少し遠くを見ながら微笑んだ。俺はその顔に、その表情に釘付けになった。
「幼心に、これが恋ってやつなのかって、好きってことなのかって思った」
目線を俺に戻した湊がふわりとした表情でそう言う。
「いつ言い出そうかずっと悩んでた。引かれるだろう、気持ち悪いと思われるだろうって考えてた。…けど今日の帰りに朔に好きな人のこと言われて、ちゃんと言おうと思った。気持ちにけりをつけようって思った」
そう言う湊の表情は少し寂しそうだった。
「だから、嫌だったら嫌って言って欲しいし、無理に付き合うとかもしなくていい、ただ朔の本心を聞かせて?」
湊の寂しそうで縋るような目が俺を見る。
「嫌…じゃない、むしろ言ってくれて嬉しい」
俺が言うと、湊は安心したのか少し表情が緩んだ。
「俺には別に今好きな人がいるわけじゃないし、お前がちゃんと言いだしてくれたのは嬉しいから、幼馴染の延長みたいになるかもしれないけど、湊が良ければ試しに付き合う…か?」
何故か少しでも湊の表情を和らげたいと思った俺はよくわかんないことを言い始めた。それに対して湊は珍しく切れ長の目を丸くして俺を見つめる。
「いいの…か?俺で…??」
信じられないというような驚愕の表情と喜びが混在したよくわからない表情で聞いてくる。
「とりあえず、試しで…もしかしたら色々気持ちを勘違いしてるのかもしれないし、な?試しで、な?」
と俺は言う。
「試しでだけど…朔と、付き合える…!」
湊がこんなに嬉しそうな顔してるの久々に見た気がするなぁと思ったのと同時にこいつちゃんと話聞いてるかなぁと思った。
「ま、まあ、ほら、とりあえず夜も遅いから今日は寝ようぜ?」
俺が宥めるようにそう言うと、
「ああ、そうだな」
と、嬉しそうな綺麗な顔で微笑みながら返してくる。
「じ、じゃあまた明日な?」
と言いながら家に入ろうとすると
「朔」
湊に名前を呼ばれた。
「なに?」
後ろを振り向いたら
「おやすみ」
という言葉と同時に額に柔らかいものが触れる。
「?!!!」
状況が飲み込めず頭に?!を浮かべる俺に悪戯っぽい顔で
「また明日」
と言いながら、手をひらひらと振ると湊は自分の家に入っていった。
「あいつ…まじか…」
俺は顔が熱くなるのを、胸が高鳴るのを感じた。
「これでよかったのか…?」
熱くなった顔に手を当てながら家に入り、シャワーを浴びてそのまま寝た。
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