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午後の授業が終わり、部活に所属していない俺と湊、そしてバイトに向かう似鳥が学校を出る準備をしていると、湊に朝の告白ショーを見ていたらしい同じクラスの高橋が話しかけてきた。
「なぁなぁ、今日地味に気になってたんだけど、成沢さ、朝に告られてた時に俺にも好きな人が云々って言ってたじゃん?お前好きな子いんの??」
高橋は興味津々といった様子で聞いてくる。
「いるけど?」
それがどうした、と言いたげな顔で湊が答える。
基本的に俺や似鳥としか話さない湊は、人見知りというわけではないが、別に俺たち以外関わりを持たなくても、とくに支障はないと前に言っていた。
そのため湊は基本的に俺たち以外の同じクラスの奴は男女関係なく、話しかけられたら答える、というだけのコミュニケーションしかとらない。
しかもそう言ったときはかなりめんどくさそうな顔をする。
そう。長くなってしまったが、湊はまさに今そういう顔をしているのだ。
しかし、他の奴らはその態度を見て、ミステリアスだとかクールだとか言って、きゃいきゃい言っている。イケメンってすごいな。
「まじかよ!!!!誰なんだよ!!!」
目を輝かせて聞く高橋。
「別に言わなくてもいいだろ」
湊は冷めた目で答える。
「いやいやいや、お前の好きな子がどんな子か知りてえじゃん!まじ名前言わなくてもいいから、どんな子かだけでもいいから!!」
割とでかい声で高橋が言っているため、周りの視線が少しこっちに集まる、というか女子がチラッチラッと見ている。みんな、湊の好きな子が気になるようだ。
湊は、はぁ、とため息をつくと
「明るくて優しくて…鈍感」
そう言うと、俺の帰宅準備が終わっていることをちらりと見て確認し、俺の腕を掴むと
「もういいだろ、帰ろ、朔」
そう言って高橋を避けて、廊下に出た。
俺の腕は掴まれたままである。
その後ろを似鳥も追いかけてきた。
背を向けた教室からは残っていた女子の黄色い声が聞こえてきた。
「お前ら置いてくなよな〜、って言った側から俺はバイト遅刻しそうだから先行くわ!ごめんな!また明日!!」
そう言って似鳥は凄い勢いで走っていった。
俺たちはそのまま校舎を出ていつもの道を歩く。
靴を履いたときは腕を離してもらっていたのだが、何故か歩き始めてから湊は俺の腕を掴んでいる。
「な、なぁ湊、腕離さない?」
「離したくない」
少しムッとした顔で答える湊。
「なんで」
俺は少し呆れたような声で言う。
「離したくないから」
そう言って湊は俺の腕を掴む手に少し力を込める。
子供かよ、と思いながらもどことなく可愛いと思ってしまう。自分よりでかい男に可愛いとか、俺、どうしたんだ。
「しょうがないから、いいよ、このままで」
俺は少し笑いながら言った。
湊は俺の顔を見たあと、俺の腕を掴んでいない方の手で自分の口元を押さえ、勢いよく顔を背けた。
「ど、どうした??」
その動きの速さに驚きながら、俺は湊の顔を覗き込むように見ようとする。
「だめ、今、めっちゃにやけてるから」
湊はそう言うと少し早歩きになった。
リーチの差の所為で俺は置いてかれそうになるが、腕を掴まれてるため小走りになる。
「湊!転ぶ転ぶ!!」
そう言うと歩く速度を落として、俺の方を振り向く。
「ごめん」
申し訳なさそうに眉を下げて言う湊。
本当、怒られた子供みたい。
「いいよ、許す」
俺の顔には自然と笑みが浮かんでいた。
「……好き」
ボソッと湊が言った言葉は俺の耳には届かなかった。
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