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24(side湊)
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初デートだし、男らしいところを見せたいとは思ったけど何をすればいいかわからなかった俺は、とりあえず映画のチケットを奢ろうかと思っていたのに、気づいたらいつも通り2人並んでチケットを買っていた。
どうしよう。
チケットはダメだった。から、せめて飲み物とかポップコーンを…よし、そうしよう。
そう思った俺は朔に聞く。
すると朔は
「んーーー、ポップコーンはいいかなぁ。コーラ飲む!」
と、笑う。かわいい。
「了解、朔、そこで待ってて」
俺はそう言って足早に売店へと向かう。
早く行かないと朔が普通に自分で買っちゃいそうだからだ。
「え?」
案の定朔は追いかけて来ようとしたが、俺のすぐ後ろに若い女が何人か並び始めたため、諦めたようだ。
俺は不自然に見えない程度に体を横向きにして並び、朔を視界に入れるように立つ。
朔は自分の魅力に気づいていない。
朔は可愛い。
大きな目にさらさらした茶髪。
今日は柄物のTシャツのの上にグレーのパーカーを羽織って、クロップドパンツを履いている。
可愛い。
現に今も周りの人間の何人かが朔を見ている。
朔自身は俺のことを見ているみたいで、やはり気づいてはいないようだけど。
朔が他の奴に話しかけられないか内心ひやひやしていると俺の番になる。
俺は口早く自分の分の烏龍茶と朔のコーラを頼む。
会計を済ませ、出された飲み物をさっさと受け取ると俺は朔の方に真っ直ぐ向かう。
朔は相変わらずボーッと俺の方を見ている。
可愛いなぁ。
「何?ずっと俺のこと見てたの?」
俺は朔の前まで行って笑いながら言う。
「み、みてない!」
朔は顔を赤くして慌てて目を逸らす。
やっぱり可愛い。
朔にコーラを渡すと朔は財布を出そうとしたが、それを止める。
結局他のところで朔が奢るという方向で解決したが、絶対阻止しようと内心では思った。
そんなやり取りをしていると開場のアナウンスが流れる。
「はいはい、ほら、開場したし、行こ?」
俺はそう言って朔の方に手を差し出す。
「…おう」
朔は少し俯き加減に俺の袖を掴む。
耳が少し赤くなっている。
俺はそれを見て微笑むとそのまま歩き出す。
周りの奴らにこの可愛い朔を見せびらかしたい気持ちと、どこかに閉じ込めて独り占めしたい気持ちが生まれた。
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