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俺たちは店を後にすると、特に行く場所も決めていなかったのもあって、湊の家に行くことにした。
まあ、湊の家は俺の家の横でもあるため、俺の家までと言っても過言ではないけれど。
そしてまた歩いている間、俺は湊の袖を掴んでいる。
家までたどり着くと、湊が鍵を開け、ドアを開く。
「親、どっちも外出てるから。とりあえず上がってて」
そう言って俺も中に入るように促される。
「おう、了解。お前の部屋行ってればいい?」
「うん、適当に座ってていいよ」
湊はそう言うとキッチンのある方へ向かって行った。
俺は二階にある湊の部屋に入る。
相変わらず無駄なものがあまりない綺麗な部屋だ。
そして机の上には小さい頃に撮った俺たちの写真が飾ってある。
俺はベッドを背もたれにして床に座り近くにあったクッションを抱く。
少ししてから
「お待たせ…っ!!」
湊はお盆に麦茶の入ったコップを2つ持って来たのだが、入り口で固まる。
「どーしたー、みなとー戻ってこーい」
俺がそう呼びかけると動き出して麦茶をテーブルに置いた後、
「びっくりした…天使かと思った…」
と言った。
「何言ってんだお前、そういや奏多兄元気?」
俺はサラッと流す。
奏多というのは湊の9歳上の兄で昔はよく遊んでもらっていた。今は一人暮らしをしている。
「なんか最近忙しいみたいだけど元気そうだぞ」
俺の正面に腰をおろしながら言う。
「そっかー!また久々に会いたいなぁ」
俺がそう言うと湊は少しむっとした顔する。
「なんだよ湊」
疑問に思って俺が聞くと
「…他の男に会いたいとか言わないで」
そう言うとふいっと顔を逸らす。
「他の男って、奏多兄はお前のお兄さんだろうが」
俺は笑いながら言う。
「そうだけど、そういうことじゃない」
そう言って湊は俺の横に来る。
綺麗な顔が近い。
「……俺しか見て欲しくない」
悲しそうに眉根を寄せて俺の目を見つめる。
かっこいいのか可愛いのかどっちかにしてくれよ!!
そして俺の胸がキュッとなる。
「いや、近すぎてお前しか今は見えてないから」
俺がそう言うと
「だからそういうことじゃないんだって」
と湊は言って、俺の両横を塞ぐようにベッドの所にそれぞれ手をつく。
「俺だけの朔にしたいのに」
そう呟いた湊は俺の額にチュッとキスをして、そのまま抱きしめる。
その切なげな声と体温で俺の鼓動は早まった。
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