アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
35
-
薄々自分では気づいていた。
けど、改めて言葉にするとちょっと気恥ずかしい。
「…湊が…好き」
ぽつりと呟いてみる。
顔がふわりと熱を持つように、赤くなるのを感じた。
「なあなあ、朔」
気の抜けた声で似鳥が呼んでくる。
「ん?」
俺も答える。
「あ、もしかして今の聞こえてたのか?いや、まあそりゃ聞こえるか?うわ、恥ずかしい…」
とは言うものの似鳥がいてもいなくても恥ずかしくなるような気はするけれども。
「いや、ンッそうじゃなくてさ?それは、ンフッやっぱご本人に言ってあげようぜ??……そこで、ッフフ…固まってるし笑」
似鳥は俺の後ろを指差し、そう言うとフハッと笑いをこらえきれなかった様子で吹き出す。
「んえっ?!」
我ながら間抜けな声だ。いや、それよりも!!!
え?!ご本人?!!!
俺は恐る恐る後ろを振り返る。
「…え、あ、湊」
そこには切れ長の目を大きく見開いて口をパクパクさせる湊がいた。
「おっと、じゃあ俺は先に教室に戻っちゃうね〜!お二人はごゆっくり!!あ!授業にはおくれんなよ!!」
そう言って手をひらひらと振りながら似鳥が俺たちの横をすり抜けて校舎内に入っていく。
「あ!!おい!!にと「朔」
俺が咄嗟に似鳥を呼ぼうとしたのを遮って、湊が俺の名前を呼んだ。
ただいつも通り名前を呼ばれただけなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。
湊は俺を真っ直ぐに見つめている。
俺もその瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
顔が熱くなる。
「朔、ねえ、さっきのちゃんと俺に言って?」
真っ直ぐに俺を見つめたまま、縋るような期待しているような、けどどこか不安げな表情で言ってくる。
俺は恥ずかしさから俯き、小声で
「………好き」
と呟く。
顔がどんどん熱くなる。
すると湊は俺の顎をくっと持ち上げ、
「だめ、俺の目を見て、ちゃんと聞こえるように言って」
今度は確信を持った目で真っ直ぐ見つめてくる。
こいつ、絶対聞こえてたじゃん…!!
湊は顎からすぐ手を離してくれたけれど、
俺はその目から目をそらすことができなかった。
顔がますます熱くなるのを感じながら今度は真っ直ぐに
「湊が…好きってうわぁ!!」
湊は俺が言い終わるのを待たずに俺を抱きしめた。
「俺も、好き、朔。大好き」
ぎゅっと抱きしめられながら耳元で囁かれる。
これ以上ないほどに顔は熱くなる。
鼓動の音が湊に聞こえているんじゃないかってくらいに高鳴る。
そして、どう言えばいいかわからないけれど、胸の奥が
じんわりと温かくなっているように感じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 39