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36(side湊)
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「はぁ…先生話長すぎ」
課題のプリントに不備があり呼び出されたものの、ほとんど世間話に付き合わされた形になった俺は、話終わると早足で朔と似鳥が待つ屋上へ向かう。
屋上への階段を二段飛ばしで駆け上がり、ドアを開ける。
風が頬を撫でた。
「…湊が…好き」
え???突然の驚きに俺は目を見開いて固まる。
これは朔の声だ、けど、え?なんて??
いや、あいつの俺に対する好きは友達としてだった、はず。
悲しいことに。
いや、嬉しいけど、恋愛的に好きな俺には複雑っていうか。
けど後ろから見える真っ赤な耳は明らかに朔が恥ずかしがっているときの照れているときの証だ。
え、じゃあ、なんだ?朔は俺を恋愛的に?
すき…??????
俺がいることに気づいていた似鳥は笑いを堪えながら朔に何かを言っているが、俺はそれどころじゃない。
本当に?俺を、友達としてじゃなく、恋愛対象として好きになった?
嬉しい気持ちと疑念が入り混じる。
いや、実際違う言葉がそう聞こえただけ?
空耳だった?
だとしたらなんて言ってたんだ?朔。
とかなんとか考えていると似鳥が俺の方を指差して何かを朔に言う。
「んえっ?!」
と、朔は間抜けな声を出して恐る恐る俺の方を見た。
きっと俺も今、間抜けな顔をしているのだろう。
「…え、あ、湊」
俺の名前を呼んだ朔の顔は赤くなっていて可愛い。
俺は朔に見惚れた。可愛い。
似鳥が俺たちに何か言って横を走り去って行った。
朔は似鳥を呼ぼうとする。
「あ!おい!にと「朔」
俺はそれを遮って朔の名前を呼ぶ。
俺以外見ないで。俺以外を呼ばないで。
そんな感情が俺の心を支配する。
空耳だったのかもしれない。
俺の願望が引き起こした幻聴かもしれない。
だから、もう一度。
俺に直接、なんて言ったのかを、聞かせてほしい。
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