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37(side湊)
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俺は朔を真っ直ぐに見つめる。
朔も俺を真っ直ぐ見つめ返してくる。
「朔、ねえ、さっきのちゃんと俺に言って?」
俺は縋るように不安を感じながら、けれどさっき聞こえた言葉が空耳ではない、幻聴でもないことに期待しながら俺は朔に言う。
朔は俺から目を逸らし、恥ずかしそうに俯くと小声で
「………好き」
と呟いた。
よかった、幻聴なんかじゃ空耳なんかじゃなかった。
よかった。と思うと同時にちゃんと目を見て俺に向けて言ってほしいと感じた。
我ながらなんて欲が深いのだろうか。
俺は朔の顎をくいっと持ち上げ、
「だめ、俺の目を見て、ちゃんと聞こえるように言って」
と、少し意地悪っぽく言ってみる。
いや、本当は今すぐ抱きしめたい勢いなんだけど。
我慢。
朔がちゃんと俺の目を見てくれたことを確認し、すぐに手を離す。なんか顎クイとか俺にはなんか敷居が高い。
すると、顔を真っ赤にした可愛い可愛い朔は
今度は真っ直ぐに俺を見て
「湊が…好きってうわぁ!!」
俺の忍耐力は弱いことがわかった。
あまりの愛らしさに抱きしめずにはいられなくなってしまった。
けど、ちゃんとはっきりと聞いた。
俺への気持ち、俺が朔に抱いてるのと同じ気持ち。
「俺も、好き、朔。大好き」
気持ちが溢れる。好き、が溢れる。
ぎゅっと俺より小さい朔を抱きしめながら耳元で言う。
俺の顔も今赤くなってるのかもしれない。
密着した体から聞こえるこの鼓動の音はどちらの音なんだろう。
わからないけれど、俺の心は今まで生きてきた中で一番と言っていいほど満たされたような気がした。
「ねえ、朔、キスしていい?」
俺は少し体を離して朔の顔を見ながら問いかける。
「えっ」
朔は真っ赤な顔のまま目をまん丸に開く。可愛い。
「い、いいよ?」
そう言ってふにゃりと笑う。
あーーーーー、もう反則!!!
俺は朔の唇に自分の唇を重ねた。
柔らかい。
すぐに唇を離して、朔の顔を伺う。
朔は自分の唇に手を当てて
「ほんとの、恋人同士になった、キス…だね」
そう言ってまたはにかむ。
反則すぎてもう無理、サッカーだったら即刻レッドカード。
健全な男子高校生にはかなり堪えるよ、その反応。
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