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嫁
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「あっふぁぁぁぁあぃ」
「でけーあくびだな、ヨネ」
「寝てねーんだよ昨日」
「はいはいアピールオツオツ」
「うっせコノ最後まで聞けって」
若干整地しきれてないボコボコのアスファルト、視認できる民家は極少、広がる緑は全て稲。朝もやからホー・ホホ・ホホーとなんか毎日聞いてるけど正体がわからない鳥の声が聞こえる通学路。
とても模範的な田舎である。
掠れて消えかかっている白線の内側を狭そうに並んで歩く男子二人は、地元の工業高校の制服を多少のアレンジを加えて着ている。
「どうせ夜中まで好みのエーブイ探してたんだろ、皆まで言うな」
そうサムズアップする坊主頭の脇腹に肘鉄を叩き込む、ヨネと呼ばれた黒髪。つり上り気味の目がより鋭利になっている。
「ちっげーよ、バカ。野球部はこれだから万年一回戦落ちなんだよ」
うるせえ、と重そうなエナメルバックを黒髪に叩きつける坊主頭。
痛そうに腰をさすりながらも黒髪の高校生、鳴子 米(なるこ よね)は、また眠たそうに大きなあくびをする。
「昨日はずっとネットで調べモンしてたんだよ。きづいたら朝でよぉー」
「お前どんだけ熱中してエー「ブイじゃねえからなブっとばすぞ」
「んでさ何について調べてたんだよヨネ」
「んー…」
少し悩むそぶりを見せてから、お前になら言っていいか、といった視線を向けた。
「魔王 封印 検索ポチィ」
「なに、ゲーム?」
「いや、リアル。」
「頭にキちゃった?」
「今のお前の態度でな」
パードゥン?と大袈裟に肩をすくめてみせる坊主頭に拳を向ける米。
本人はいたって真面目な顔(若干の隈つき)だったが、いかんせんリアルで魔王封印だなんて。中二病を拗らせたとしか思えない。
今日学校サボって寝ろよという旨のセリフを言おうとした坊主頭だったが、喉まで来たそれが陽の光をみることは無かった。
目つきの悪い親友の背後に、覆いかぶさるような長身の男がヌンっと立ち日差しを遮っていたからだ。
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