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狼
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キオンは身を乗り出して俺の頰にキスをする。
首を振って振り払ったが、しつこく俺の頰を追いかけて何度も唇を落としてくる。
「狼は賢いんだよ、レイ」
キオンは楽しげに頰を緩めた。
そんなの、ずる賢いの間違いだ。
「つめた……っ」
ぶるりと身体を震わせる。
冷たいキオンの手が、俺の腹を撫でながら這い上がっていく。その手はどこか切羽詰まっており、落ち着きがない。
なにを考えているんだ、こいつは!
手を引き離そうともがいていると「レイ」とキオンが耳元で囁いた。少しの間のあと、そろりと振り返ってキオンの顔を見遣る。
キオンはこちらを見ながらキスで濡れた唇をわざとらしく舐めたかと思えば、意地悪く口角をつり上げた。
「シたい」
ぼっ、と顔が火を吹いた。
「今ここで、今すぐシたい」
流石の俺でも「なにを」とは聞かなくても分かった。
さっきから股間になにか硬いものが当たっている気がしていたが、やっぱりそれは気のせいではなかったと思うと同時に怒りが込み上げてきた。
「俺を強姦したこと後悔してたくせに、なんでそんなことが言える!?しかもこんな流れで!!」
「後悔はしてねえ。確かにちょっと悪いことしたかなとは思ったが、お前だってイってただろ」
開き直りやがって……俺はキオンのことを睨んだが、悔しいかな、それは事実だから否定は出来ない。
だけどそれとこれは別だ。そもそも俺はそんなことをしに来たわけじゃない。
「ぜっったいに、いやだ!!」
「なんで」
キオンが不思議そうに首を傾ける。その顔が余計に頭にきて、俺は腰に巻かれたキオンの腕を思い切り抓りながら踵で足を蹴っ飛ばす。
「ふざけんな死ね!クソ野郎!!聞きてえのは俺の方だクソ!クソ!!」
「いでッ!っの、お前はクソしか言えねえのか!」
胸元を弄っていたキオンの指が、仕返しだと言わんばかりにキュッと俺の胸の突起を摘み上げた。
「ひ、うっ!」
咄嗟に口元を両の掌で覆ったが変な声が出てしまったのに驚いたやら恥ずかしいやらで、髪の色と同じくらい顔が赤くなる。
ハッとしてキオンを見ると、摘んだ本人も俺の反応に驚いているようで、目をまん丸くしていた。
「ち……ちが、違う!べ、べつに、ちょっと驚いただけで……」
だから断じて乳首に感じたわけでは、
「……なるほど」
思いがけずキオンはあっさり理解してくれた。
と思ったが、そんなわけなかった。
「そうか。お前もシたいと思えば、それは強姦じゃないよな」
キオンの顔は見たことがないくらい真剣な表情をしていた。
その顔を見た瞬間、ぶわっと嫌な汗が噴き出る。
どうしてそういう考えになるんだ。
「バカか、お前!だ、大体にしてこんな人の家で恥は無いのかっ!」
「そんなもんねえな。つか、お前こそ恥はねえのか?さっきからおっきい声出して、外に聞こえちまってるかもしんねえぞ?」
「ッ、き……聞こえてる、わけ……」
そう言われると途端に不安になる。
キオンはククッと喉の奥から笑い声を漏らした。
「どうだか。ここは森の小屋とは違うんだ。あんときみたいなでっけえ声なんて、外に漏れちまうぞ」
そう言いながら俺の乳首を人差し指と親指で擦り、刺激を与えてくる。
「あ、ッ、ン……んっ……」
出そうになった声を、下唇を噛んで必死に殺した。
触られたところが熱をもったみたいにジンジンと熱くなってくる。
俺の肩に顎を乗せて、キオンは楽しげに目を細めた。
「は、レイはヴァネッサと違って貧乳だな。俺の手にすっぽり収まっちまう」
キオンは俺の胸を大きな掌で覆って、ゆっくりと揉み始めた。まるで女の胸でも触っているような手つきである。だが俺は当然女なんかじゃない。胸がなくたって当たり前のことなのに、侮辱された気分になる。
「まあ、俺は小さいのも好きだな。小ぶりですごく可愛い」
「っ死ね!!」
「声が大きい」
シーッとキオンが俺の唇に人差し指を押し付けてきたのにつられて口を噤む。
「でも俺は、胸より断然ケツ派だ。レイのケツは……そうだな、胸と同じで小さいが、形が良くて触り心地がいい」
「ひ、」
キオンが俺の腰に回した腕で俺の身体を支えながら、ゆっくり腰を揺すり始めた。動くたびにキオンの股間の膨らみが当たってきて、多少ながらも俺のことを刺激してくる。
「えっ、や……っの、動かすな!」
「なんで。イヤラシイ気分になるから?」
ドキッとした。
「……挿れてほしくなるから?」
低い声で、キオンは囁いた。
そんなわけない。
あり得ない。
挿れられるのは、すごく痛くて、苦しくて、気持ち悪くて、それから……、
中に精液を吐き出された感覚にを思い出し、身体が震えた。
……怖い。自分が自分でなくなるような感覚に陥る。
俺は小さく唾液を飲み込んだ。
その瞬間、キオンが突然立ち上がった。
キオンの腿に座っていた俺はバランスを崩して咄嗟にキオンのシャツを掴んだのだが、キオンが俺の身体を突き飛ばしてきて、派手な音を立てて床に倒れ込む。
頭と尻を思い切りぶつけた。
あまりの一瞬のことで、なにが起こったのか理解するのに時間がかかる。
俺は痛みに顔を歪めながら、原因であるキオンのことを睨みつけた。
「いってえな……!てめえ、なにしやが、」
キオンが素早く俺の両肩を掴んできたかと思えば、俺の身体を抑えつけながらのしかかってくる。
気付けば、床の上でキオンに組み敷かれていた。
「……お前はほんと、なんて顔したんだよ。無理矢理突っ込みたくなるだろうが……わざとやってんじゃないだろうな」
「えっ、あ?」
キオンがなにを言っているのか理解出来ない。
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