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好きの感情
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どうしてと、潤んだ目を見開いてキオンのことを見つめると、キオンは意地悪な笑みをうかべながら自分の下唇を舐めたのだ。
それを見て、俺は確信した。
こいつ、わざとだ……!
分かった瞬間、イラッとした。
好きな相手にすることか、それは!
文句を言ってやろうと口を開きかけたが、キオンのことだから「イかせて欲しいっていうおねだりか?」とかなんとか言われそうな気がする……キオンとはまだ
短い付き合いだが、この意地悪クソ狼の言いそうなことは大抵想定出来る。
そりゃ、イきてえけど……なんかやだ。ムカつく。
「どうした?」
キオンがわざとらしく首を傾けながら、また後孔に指を挿入し始める。
一本?……じゃない、二本だ。苦しい……。
その異物感に若干顔を顰めつつも、我慢して首を振った。これは我慢勝負だ。俺とキオンの。
身体が熱くて堪らない。
さっきまで散々俺の性器を触ってきたくせに、今は腿の付け根にキスをしながら、指で俺の中を掻き回している。
「や、ッ!」
キオンがぢゅっと音を立てて、強く肌に吸い付いてきた。
少し前の俺ならばなにをしているのか分からなかっただろうが、今ならそれがキスマークをつけた痛みだと分かる。
「ん……今、痕つけられたって分かっただろ?中が締まった」
締めたつもりなんてない。
俺が慌てて首を振るも「嘘つけ」とキオンは口角をつり上げる。
「でも今は慣らしてんだから締めんなよ」
挿れられた二本の指で中をくぱあっと拡げる。食い入るようにそこを見ているキオンが見たくなくてもこの体勢からだと見えてしまい、俺は身体を震わせた。
「そ、そんな、とこ、」
「恥ずかしがることねえって。……すげえ、可愛い」
キオンは俺のことを可愛いって言う。
バカにしてるだけかもしれないが、そんなことを言われると余計恥ずかしい。堪らず、両手で顔を覆い隠した。
音が、する。
キオンが俺の自身から滲む先走りを指につけ、それを潤滑油代わりにしているようだが、その出し挿れする音が居心地悪い。
「あぅ、あ……っ、ン!」
「ここ擦られるの好きだろ?この、ちょっとコリコリしてるとこ。ここを爪の先でいじってやると、レイの中がきゅんきゅんして嬉しそうだ」
見ないようにしても、キオンが一々教えてくる。
キオンに抱かれるのは今回で3回目だ。キオンは俺が感じるところをムカつくくらい覚えていて、俺がいくら首を振っても「気持ちいいクセに」と笑って、そこばかりを弄ってきた。
「ひ……や、ぁ!あっ、あ……!」
俺はまたイきそうになって、腰をくねらせた。
このイきそうな感覚が腰にきて堪らないのだ。キオンもそれに気付いた。
「そんな腰動かしてどうした?」
「っバカ……!」
キオンに「イきたい」っておねだりすれば、ちんこを思いっきりしゃぶって、イかせてもらえる?
もっともっと強く、俺の感じるとこグリグリしてもらえる?
何回も寸止めされていたせいで、いつしかキオンの顔を見ながらイくことばかりを考えていた。
苦しい。
イきたい。
出したい。
奥に溜まってるの、全部出してしまいたい。
もうなんでもいい。なんでもいいから、早く、
「イきてえのか?レイ」
キオンはゆっくりと舌舐めずりをして、俺のことを見下ろしていた。その頰はほんのりと赤くなっていて、琥珀色の目はギラギラしている。
その目を見た瞬間、俺の奥がきゅんと締まった。
「だ……、だし、たい……」
その目に誘われたみたいに、あれだけ言いたくなかった言葉が滑り出た。それとほぼ同時にぶわっと涙が溢れてきて、俺の頰を濡らした。
「もう、やだ……っ」
俺は緩々首を振りながら、小さくしゃくり上げた。
「イきたい、のに……キオンが、意地悪ばっかするから出せなくて……も、苦し……ッキオンの、ばかぁ」
そんなこと言うなんて情けないと分かっていても、この苦しさから一刻も早く逃れたかった。
「な……っ、泣くな、アホ!」
ところがキオンに怒鳴られた。びっくりして濡れた目を見開いてキオンのことを見上げると、乱暴な言葉とは対照的に、分かりやすいくらい慌てていた。
……いや、焦ってる?
「お前が悪いんだぞ!お、お前が……ああ、クソ!」
キオンはバツが悪そうに後ろ頭をグシャグシャと掻き乱した。
「……悪い、ちょっと意地悪したくなった。レイが、可愛いから……」
聞き間違いかと、己の耳を疑った。
「は……?」
謝った。キオンが。
「好きな奴とセックス出来るのが、その……う、嬉しくてだな……ちょっと調子に乗った」
「と思う……」とキオンはなんとも歯切れ悪く語尾を濁した。
不覚にも、それを聞いてキュンとしてしまった。
ただ意地悪をしていたわけじゃない?俺が好きだから虐めちゃって……。
危うく流されそうになってハッとした。
好きな相手なら、そんな意地悪するなよ!子供か!!
「お、お前なあ……!それで、俺がどんだけ苦しかったと思って、」
ひゅっと涙が引っ込み、文句の一つでも言ってやろうとしたが、「だから!」とキオンが俺の言葉に被せて口を開いてくる。
「もうこんなことしねえ!今日はもっともっとお前のこと気持ち良くしてやるからな!」
キオンは俺に任せろと言わんばかりに、グッと拳を握り締めた。
「………………ん?」
俺は少し考えたあと、首を傾けた。
なんだろう。嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか。気のせいだと言ってくれ。
キオンは肩に乗った俺の足を掛け直して、その下唇をゆっくりと赤い舌で舐めた。
「たっくさん、イかせてやるからな。そんで、腹いっぱいになるまで精液注いでやるから……な、レイ。レイは中出しされるの好きだもんな」
「え、ちょ、ちょっと待った」
まるで俺の声なんて聞こえてないみたいに、キオンは爽やかな笑みを浮かべた。
「一緒に気持ち良くなろうな、レイ」
口端がピクピクと痙攣した。
……やっぱり言わなければ良かったと、激しく後悔した。
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