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アルコール
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レイは、ちょろい。そしてある意味バカだ。
俺はレイと出会ってからずっとそう思っていた。
赤毛のせいで差別されてきたようだが、そのせいで優しくされることに慣れていないのか、ちょっと優しい言葉をかけてやればヤらせてくれるし、ソッチのことに関しての知識が乏しいから、それらしいことを言えば納得しちまう。
キスマークが魔除け?アホか。あんなの魔除けなわけがあるか。
……いや、ある意味魔除けだな。余計な虫がつかないための、魔除け。
俺のその言葉も信じちまうなんて、ほんとにレイはバカで………ほっっんとに、可愛い。
怯えた顔なんて、ほんとに食っちまいたくなる。
気持ち良すぎて混乱してる顔、恥ずかしそうな顔、全部全部可愛い。
あいつの大きくて黒い目には吸い込まれそうになる。
あの白い肌に痕をつけるとすごく映えるから、もっとキスマークを付けたくなる。
レイの全てが、欲しいと思ってしまう。
レイは知らねえだろうが、昨日あいつが寝たあと後ろの処理をしてやってるとき、ケツから俺のが出てきたのを見てムラッとしちまって、実はあいつの腹にぶっかけちまった。
今まで攫って犯した人間に対してこんな感情を持ったことはない。ただ、溜まったものを吐き出すだけの作す業でしかなかったのに、だ。たかだかケツから精液が出てるだけだぞ。
そして、レイが寝ているときに腹にかけてしまったことに罪悪感という感情を覚えたのも初めてだった。だから今日の食事は豪華にしたっていうのもある。
いや、レイに美味いモンを食わせたかったっていうのもあるが……なんかレイが俺の飯をムシャムシャ食べてるのを見るってもの、なんか腰にくるものがある。
とにかく、レイはなにをやってても可愛い。
レイがミートパイを食べてる。可愛い。
レイが口に物を入れたまま、俺のことを探してキョロキョロしてる。可愛い。
レイがワインを勧められて困っている。可愛い。
そして、やっぱりレイはちょろい。
ちょっと悲しい顔をしたら、ワインを飲んでくれた。
レイは……優しいんだと思う。
レイがここに来るまで大変だったと思う。ありとあらゆるものを捨てなければいけないというのに、ここにきた。
俺に、好きだと言ったあの瞬間は本当にどうにかしてしまいそうだった。あの花畑でレイのことを抱かずに小屋まで我慢した俺は本当に偉かったと思う。
だって、あの花畑には……いつか、レイに言わなければ。本当は昨日花畑に連れて行ったとき言おうと思ったのだが、レイの顔を見たら言えなかった。でも早いうちに言わなければ。
そうだ、なんなら今だって……、
レイがグラスをテーブルに置いた音で我に返った。
見れば、グラスの中は空になっていて目を疑う。
こいつ一度に全部飲んでしまったのか?
俺は嬉しくなって、レイの頰にまたキスをした。
「なんだレイ!飲めるじゃねえか!」
調子に乗って「もう一杯飲むか?」と尋ねると、レイはコクンと小さく頷いた。
なんで頷き方もそんなに可愛いんだ……ついデレッと緩んでしまいそうになってしまう頰を必死に引き締めながら、さっきより少し多めにワインを注いでやる。
するとレイはすぐにグラスを傾けて、喉を鳴らしてあっという間に飲み干してしまった。
……ん?
レイはグラスを傾け、無言で注げと訴えてくる。
しかし俺は思わず手を止める。
……いや、飲めと誘ったのは俺だけど。
「レ、レイ、ほんとに飲むのか?」
俺は水を飲ませてるわけじゃねえんだぞ。
俺がそう言った瞬間、レイの持ったグラスがテーブルに叩きつけられ、その音に思わず驚いた。
「…………レイ?」
レイはグラスを握り締めたまま、黙って俯いている。
様子を伺ってみても一向に動く気配も喋る気配もなかったため、仕方なくグラスにほんの少しだけワインを注いでみると、まるでゼンマイを巻いた途端に動き出した振り子時計みたいにレイは動き出し、あっという間に飲んでしまう。
俺は空になったグラスを見て唖然とした。
俺は酒に強い方だと思っていた。今までどれだけ飲んでも記憶がなくなるどころか、フラフラしたこともない。だが、レイほどのスピードで酒を飲んだらどうなるか分からない。
てっきりレイは酒が弱いのだと思っていたのに……。だって、見るからにものすごく弱そうな顔をしているじゃないか。
だがレイがこんなに飲める人なら、晩酌に付き合ってもらえそうだ。
「なんだ、酒が飲めるならもっと早く飲ませてやれば良かったな……ほら、もっと飲め」
俺は再びレイの腰に腕を回し、ワインを注いでやる。
ほんのりお酒の匂いがするレイ。いつもより大人っぽく感じるのは気のせいだろうか。
レイの顔をよく見たい。
俺がレイの顔を覗き込もうとしたとき、レイの頭がこてんと傾き、俺の肩に乗ってきた。その瞬間、俺の頭は真っ白になって動きが停止する。
「……はっ」
いかん、息が止まっていた。
無意識のうちに止めていた呼吸を再開させたのち、俺は今のこの状況を整理しようとした。
まるで首が錆びてしまっているかのように、ギギッと硬い動きで自分の肩を見る。五度見したが、やっぱりレイの頭が俺の肩に乗っている。レイの、頭だぞ。まるで甘えているかのようなこの状態、今までになかったことだ。
かあっと身体が熱くなっていくのを感じる。
ただレイの頭が肩に乗ってるだけだぞ。ただそれだけのはずなのに……、普段ツンツンしているだけにあって凄まじい破壊力だ犯されたいのかこいつは。
高鳴る心臓を押さえつけながら「なんだ、甘えん坊ちゃんになったのか?」といつもの軽いノリで、腰に回した腕でゆっくりレイの脇腹を摩る。
「うるせえ、お前の肩がちょうどいい位置にあっただけだボケェ」
とかなんとか言いながら俺の腕を振り払う……はず、なんだが。
「や……、くすぐったい」
振り払うどころか、レイは楽しそうに言いながら身体をよじらせた。
俺は目の前の現実を受け止められず、目を白黒とさせたあと今度は意識して脇腹をくすぐってみた。
「っやだ、こちょこちょ」
こちょこちょ。
俺は頭の中でレイの発した「こちょこちょ」を何回もリピートする。
こちょ、こちょ…………なんだそれ。なーにがこちょこちょだ、ブチ犯すぞクソ。
思わずレイの身体をぬいぐるみのようにぎゅうっと抱き締めた。
可愛い可愛い可愛い。
なんてことねえのに、なんで俺はこんなにもレイのことが可愛くて仕方ない。
なぜかレイは抵抗してこなかった。いつもなら蹴っ飛ばされているはずなのに。
俺はレイの顎を掴み、その顔を覗き込んだ。そしてレイの顔を見て「やっぱり」と呟いていた。最初にしていた俺の予想は当たっていたのだ。
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