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さっきまでの緊張からか予想以上に喉が渇いていたらしく、旭は貰った飲み物をグラスの半分くらい一気に飲んでしまった。健人が貰ってきたのは甘いカクテルのようだ。アルコールというよりはジュースに近く、飲みやすい。喉を潤し、ここで一旦リセット……と思っていたが、そう思っていたのは旭だけだった。
「それよりさ、ウブなネコちゃん拾っちゃった」
明がそう切り出すと、健人は興味津々に身を乗り出した。
「えー、マジ? 誘った?」
「まだ」
二人の言っていることが理解出来ず、旭は首を傾げる。
ちょうど店内の曲が変わった頃だろうか。健人と明が意思を通じ合わせたように頷き、旭のほうを見てきて。その瞳はねっとりと舐められているような、背中がゾワゾワして落ち着かないものだった。ニヤついた二人の笑顔が少し怖い。
そして、先に口を割ったのは明だった。
「ねえ、旭。あとからハプバーに移動して乱パするんだけど、一緒に来ようよ」
「それは……どういう意味?」
「どういう意味って、ここのみんなで仲良く公開セックスしよーって言ってんのー」
「馬鹿。まだはっきり言うの早い」
健人がわかりやすく言ってくれたおかげで、旭の思考が停止した。頭の中は「この人たちは、なにを言っているの?」の一言である。でも、危ないことに誘われているのは十分にわかった。
こんなの望んでいない。
「えっと」
旭の眉が寄り、それを見た明が慌ててフォローに回る。
「ああ、怖くなった? でもね、めちゃくちゃ気持ち良いよ? 俺たちがリードしてあげるから大丈夫」
「ねー、行く? 行かない? どっちー?」
行かない。行きたくない。
そう言いたいのに、なかなか口が開かなかった。それは今までゲイであるということを隠してきて、なんでも友達に合わせてきたからである。合わせないと、何があるかわからないという怖さ。その怖さが、ここで旭に襲いかかったのだ。旭は俯き、汗の滲む手を握り締める。
どうしよう。このままだと──。
「行──」
「どう考えても、行かないの一択だろ。はあ……聞き捨てならない言葉が聞こえてきたかと思えば、またお前たちか」
健人でもなく、明でもない声が旭の耳に届いた。バッと勢いよく顔を上げると、スーツ姿の男が立っていて。今のところ見た目は、会った人の中で一番まともと言えるだろう。
明と健人の二人は、この男を見ると明らかに嫌そうな顔をした。
「ええ、マジか……椎名さんじゃん」
さらに、この椎名という男が現れてから、一気に場の空気が悪くなる。
「俺がなに? お前らもよく懲りないよな」
「椎名さんも、いつものヒーロー気取りですねー。また前みたいに変なのに捕まるよー?」
「余計なお世話。その子がお前らに連れていかれるよりかはマシだ」
「あーあー、いいよいいよ。この子、欲しいんでしょー? 俺ら優しいからあげるー」
「わっ」
急に健人が立ったかと思うと、腕を掴まれて放り投げられる。幸い椎名の胸に飛び込むような形になったので、痛くはなかったものの、扱いが乱暴で嫌な気持ちになった。
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