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「あっ、あ、あー、イくっ、イっちゃう……!」
と、旭が途中で達しても許してくれなくて。
「ん、あう、あっあっ、椎名、さ、んっ、椎名さんっ……だめ」
びくっと絶頂の余韻に浸りつつ、また新しく押し寄せる波はまるで地獄のようだった。イってそうだけど、イってないような境界線を跨いでる状態は苦しいけど、腰が重くなるような甘い痺れに覆われて思考が奪われていく。
「は……っ、旭くん、俺の名前……ちゃんと、覚えてる? 呼んでよ、旭」
いきなりの呼び捨てに、心がきゅうんとせざるおえなかった。旭はそれに応えるように椎名の名前を何度も呼ぶ。
「きょ、すけ……さ、京、介……さんっ」
「いい子……もう少し……だから、頑張って」
また律動が激しくなり、ぱちゅ、ぱちゅ、と肌のぶつかる音と、水音が重なる。男なのに、結合部が凄く濡れているような感覚がして恥ずかしい。さらにはそれを椎名に見られているし、聞かれているし。イヤイヤと首を振っても、快感は深まるばかり。
ラストスパートに前立腺のしこりを擦りあげ、最奥をノックされた時にはチカチカと光が飛んで、一瞬、意識を失いそうだった。
「旭……っ」
椎名に名前を呼ばれて、涙で濡れた瞳で見つめ返した時には唇を奪われていた。快楽を求めるだけのキスで、獣のように交わり、旭の唇からはお互いの混ざった唾液が零れていく。
「ん……ん……っ」
何度か揺さぶられて、最奥を穿たれたあと、椎名のペニスがドクドクと脈打つのを感じた。旭も同じくらいに射精をして、ひく、ひく、と身体を震わせる。
止まなかった律動と、濃厚な口づけから解放されて旭は大きく息を吐いた。
なんというか、凄かった。とにかく、凄かった。何度も射精して疲労している旭は、それくらいのことしか考えることが出来ない。
「生きてる?」
心配をして頬を撫でてくる手が心地良かった。
「京介さん……」
旭は薄く瞳を開き、ふにゃっと笑う。それはもう語尾にハートマークがつきそうな甘い声で、中の椎名がびくんと動いた。
ああ、激しいのはえげつないけど、これくらいなら可愛いかも。
なんて口づけを受けながら思っていると、中の質量が増したような気がした。嫌な予感にじたばた脚を動かせば、鎮めの一突きで旭は撃沈した。
そして、流されるように始まったワンラウンドが終わる頃には、案の定、旭の腰は砕けていて。そのあとのシャワーは、椎名がいなければ何も出来ない状態だった。
ちゃぷ、と手を動かすと水面に波紋が出来る。旭はその様子をただただ見つめ、消えてはまた手を動かしてと特に意味のないことを繰り返していた。
冷静になって、これは現実だよね、と何度も思った。バーで出会った男とその日にセックスをしてしまった。今までの旭の日常を考えると、非現実的でやっぱり夢なのではと思ってしまう。
すると、その夢を覚ますかのように椎名が後ろから腕を回してきて。振り向くと、優しい微笑みを向けられて、どちらからともなくキスをした。
あれから椎名が丁寧に後処理をしてくれて、二人くっついて湯船に浸かった。今になっては媚薬の効果もだいぶ薄れてきている。椎名には最初から最後まで頭が上がらない。
確かに今日のことは災難だったと思う。でも、それ以上に良いことがあった。椎名との運命的な出会い。優しくて大人で理想の人。そんな人の腕に抱かれて旭は幸せに満たされていた。
「旭くんはなにか食べたいものはある? なにが好きなの?」
それに、本当に椎名との“次”があるらしい。湯船でゆっくりと戯れて、食事に行く約束を交わしているところだ。
「うーん、だいたい子供の好きな食べものが好きです」
「例えば、ハンバーグとか……オムライスとか?」
「そんなところです」
「わかった。美味しい洋食屋さん探しておく」
「えへへ、ありがとうございます」
幸せな上に、これからの楽しいことが増えた。それも、一番楽しいことである。
椎名との関係は、甘い雰囲気が漂っているけれど、はっきりさせていないから今のところは身体だけの関係かもしれない。椎名はどう思っているかわからないが、旭はすでに椎名のことが好きだった。セックス中も、好きと危うく言い出してしまいそうなくらいに。
そして、気持ちが繋がるのは、すぐそこなのか、まだ先なのか、そこはまた別の話。
End
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