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とあるワンシーン
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(旭視点)
「旭くんって、なかなか俺の名前を呼んでくれないよね。ちょっと悲しいから、今からペナルティつけちゃおうかな」
「ペナルティ……ですか?」
京介さんは時々、意地悪なことを言ってくる。って、心の中では京介さんと呼んでいるのだけど……。実際、簡単に呼べれるものなら、どれだけいいことか。
不安そうに京介さんを見つめれば、目が合ってニコリと笑われる。意地悪は嫌だけど、どうやっても好きという気持ちが勝っちゃうんだよなあ。
「うん。そうだな……苗字を呼んだら旭くんからキスしてもらおうか」
「むう、椎名さんって優しいのか意地悪なのか時々わかんなくなりますね」
そう言うと、京介さんはふっと笑って。
「俺って悪い大人だよ、知らなかった? それより今のもペナルティの対象だからね。わかってる?」
「えっ、今のはナシですよね!?」
「だから、俺は悪い大人って言ったじゃない。はい、どうぞ」
ずるい。俺はむっと膨れるが、京介さんは瞳を閉じてしまって待っている。見られてないだけマシなのかな。そう思う俺はちょろいのだろう。京介さんは悪い大人だから、もうここまで来たらキスをするまで許してくれないだろうし。
恐る恐る京介さんに近づいて、むちゅっとキスをし離れようとした。しかし、いつの間にか腰に回った京介さんの腕が離してくれなくて。
「あ、あれ……?」
「ふふ、このままお話しようか」
こんな近い距離だから、心臓の音が聞かれてしまう。
俺は困り果てて「京介さん……」と助けを求めると、幸せそうにはにかまれたので、そのままノックアウトしたのであった。
End
* * *
どうしよう。俺はずっとにぼし──京介さんの飼い猫に向かって語りかけていた。
今日は京介さんの家にお泊まりだ。京介さんの家に行ったことは何度かあるものの、お泊まりというのは初めてで。今までたくさんドキドキしてきたけれど、今日もまた違ったドキドキがあった。
ちなみに京介さんは今、シャワーを浴びている。
「にぼしー、助けて……!」
なんて、にぼしに言っても「なー」と返されるだけだ。にぼしよ、鳴いている場合ではないんだ、わからないだろうけど。
俺は唇を尖らせて、にぼしを抱き上げる。うりうりと撫でていると、猫パンチで返されてしまった。痛い。
「旭くん」
「はいっ」
京介さんの影に気づかなかった俺は、いきなり声をかけられて肩を跳ねさせてから振り向く。
すると、ちょうど京介さんも腰を曲げてきてたので、振り向いた時には顔が近い上、そのまま唇を奪われて。一瞬、何が起こったかわからなかった俺は、唇が離れてもポカンとしていた。
「今日、にぼしばっか構ってるよね。妬けるんだけど。今日はもうお触り禁止令を出すよ?」
「は、はい……ごめんなしゃい!」
ようやくキスをされたのだと気づいて驚き、さらに慌てて、情けなくも舌がまったく回らなかった。
すると、京介さんのむすっとした顔が次第に緩んでいき。
「ふは、旭くん、呂律回ってないよ? 許さないって思ったけど、どうでもよくなっちゃった」
京介さんの笑顔で、少し気持ちが楽になる。
しかし、このあとから京介さんにベッドの上で優しくお仕置きされるのを、今の俺はまだ知らない。
End
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