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プロローグ①
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目を覚ますとそこは個室のトイレだった。
見慣れた高校のトイレで間違いはない。
おかしな点は手足が縛られて動けない点と、目の前に人がいる点である。
耳をすませる。人の歩く音も、しゃべる声もあまり聞こえない。
まあ、意識があるときにはすでに放課後だったから、当然か。
それなりに時間は経っているのは、間違いないだろう。
そして目の前の人物。
その人物には見覚えがあった。
「岡村……晴彦」
岡村晴彦。
彼はオレの一つ下のやつだ。つまり、高校1年生。
1学年で7クラスもあり、かつ部活にも入っていないオレがこの人物を知っている理由は2つ。
一つは彼はかなりの有名人だからである。
これは悪い意味でととらえて問題ないだろう。
陰では「変人」と呼ばれている。
とにかく行動も発言もおかしいらしい。
というより、人の感情というものに鈍いために、普通の人間ではしないであろうことをすることが多いのではないかと足達は言っていた。
もう一つは……。
こいつの彼女と浮気していたからである。
オレは彼女に誘われてやることをやっただけでデートはしていない。
だが、恨まれるには十分だろう。
「……おい。ほどけよ」
「まだ駄目ですよ」
岡村のその時の顔は、何もないというにふさわしい顔だった。
怒りも、悲しみもない。オレには想像もできないような顔。
「……用件はなんだ。やっぱり佐々木のことか?」
佐々木美穂。そいつが岡村と付き合っていた子の名前だ。
見た目は上の中くらい。性格は一回だけの関係なのでよくは分からないが、恐らく相当プライドは高いだろう。
きつい目つきと言動がオレにそう思わせた。
「うーん。彼女のことはどうでも」
「はあ?」
「というか、もう冷めてたんですよ、お互い。だけど別れるって言葉が出なくて。そのためにあなたを使ったんじゃないですかね、佐々木さん」
下の名前では呼ばないんだな。しかし、この様子だと別れているようだから呼ばないだけかもしれない。
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