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プロローグ②
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「で、どうやったらこの紐ほどいてくれるわけ?」
「うーん。言葉にするのが難しいんですけど……」
何かを言おうと言いよどんでいる。
この変人から何が飛び出すのか、分からないのが怖い。
「俺と付き合ってくれます?」
「やだ。てかオレのこと好きなわけ?」
「違いますけど」
ならなおさら嫌に決まっている。
なぜ付き合ってくださいってなるんだ!?
「付き合ってって、恋人の方だととらえていたけど違ったのか?」
「いえ、合ってます。でも好きだからっていうより……鑑賞対象としてみてますね。新名先輩のこと観察してたら面白そうなので、付き合えばより分かるんじゃないかって」
「……なら友達からでよくね?」
オレは失言をした。
こいつと友達になる気なんてなかったのに、友達からでいい、と言ってしまった。
「なら友達で」
「嫌って言ったら?」
「脅しますかね?」
何で疑問形なんだろうか。
何にせよ、快諾しないとここから出ることができないのは間違いない。
もし、このままだったら死にはしないだろうが、紐に縛られたまま発見されることになる。
それは嫌だ。
「分かった!友達でいいから!とにかくほどけよ!!」
「いいですけど。いくつか守ってもらいたいことがあります」
なんだよ、と小さくつぶやく。
いいから早くしてくれ。
岡村は、静かに述べていく。同時にスマホで何か操作をしていた。
「一つ目は、連絡先を交換すること。そして変更した場合は必ずいうこと。二つ目はよほどの用がなければ俺の呼び出しを優先すること。もう一つはオレの言うことは絶対聞くこと。破った場合はこの写真、SNSにあげますね」
それはオレと佐々木美穂のセックスしている写真だ。
間違いなく撮ったのは佐々木美穂で間違いない。そういえば撮っていた。
「迂闊すぎますよ。佐々木さん、わざわざこれを俺に見せて、浮気した証拠だから!!って言ってました。彼女、「別れよう」っていう言葉を言いたくないがゆえにこんなことしたんですよ。すごく面白いですよね」
こいつの「面白い」は彼女を馬鹿にした言葉じゃない。本当に「面白い」って思っているのだ。
「分かった。ちゃんと守るから!」
「約束、ですよ。録音しましたから。よろしくお願いしますね。新名翔さん?」
オレは早くほどいてほしいがゆえに、とんでもない約束をしてしまった。
それに気が付くのは、少し先のことである。
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