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部屋に入るのにここまで緊張するのは初めてだろう。
とても広い。オレの家のリビングより広いんじゃないだろうか。
目の前にある大きなテレビ、その周りにある棚。
テレビから少し離れたところにポツンと机とクッションがいくつかある。
……それ以外何もない。棚がかなりあるのが唯一の特徴くらいか。
部屋が広いけれど寂しいと感じた。
岡村は放心していたオレをほおっておいてDVDをレコーダーにいれる。
せめておれが座ってからにしろよ!と思わず声を出してしまっていた。
岡村は相変わらず無表情で、すいません、とだけいう。
少し重い空気の中、映画が流れる。
柔らかいクッションを岡村は寄越す。遠慮なくそれにすがりながら見る。
……悪くないな。
弟がかなりの映画マニアで古いものから新作、有名なものやマニアックなものまで集めていて見ている。あまり理解できなかったがたまにはこうやって映画を見るもの悪くないかもしれない。
ポテチを食べつつコーラを飲んでいく。
映画を見ながら食べるお菓子っていつもよりおいしく感じるのはなぜだろうか。
岡村もおつまみを食べているけれどそんなの全く気にならないくらい、映画に集中していた。
1作目が終わり、おれは伸びをした。
自分ちならそのまま寝っ転がって寝ていたと思う。さすがに人んちじゃできそうにない。
「あ、コーラなくなったわ」
もっと買っとけばよかった。
「お茶ならありますけど、いります?」
「おー頼むわー」
さっきの映画よかったな。
べたなアクション映画だったが、その中にある友情、そしてハラハラするシーン。
すべてがおれを興奮させた。
「先輩、お茶です」
コップにいれられたお茶をグイっと飲み干す。
ポテチはおいしい。だがのどが渇きやすくもなる。
まあちょうどポテチもなくなってしまったし今後お茶を飲むにしても2作目が終わった後だろう。
「サンキュー。次何見る?」
「次は落ち着いた感じの映画にしましょう」
おれの意見など聞かずさっさとレコーダーにいれてしまう。
少し不服に思いつつ、クッションにすがる。
次の映画は、死んだ恋人のことが忘れられない男が新しい恋をするという物語だった。
始めから暗い。とにかく暗い。
さっきとは違い、集中できない。もともと恋愛映画を見ることがないに等しいからかもしれない。
だからだろうか。
眠くなってきた。
瞼が重い。
一瞬目を閉じると、おれはもう眠りについてしまった...
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