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3‐1
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珍しく井上が休みの日。
少しずつ暖かくなり、昼に外に出ると太陽の熱が心地よかった。
昼、食べる相手がいないので外で食べることにした。
……別に作ろうと思えばできた。他のグループにいれてもらえばいいし。実際誘われた。
けど断ったのは窓から見る外の景色が魅力的に見えたからだ。
別に一人になることにそこまで抵抗はない。小学生のころは敵を作りやすく一人でいる時期もあった。
段々上手に生きるための人との接し方を覚えて、ぼっちでいることは減ったが、クラスの中心人物とは程遠いし、なろうとは思わない。とても眩しくて素敵だとは思うけれど。
適当に座る場所を探していたらすでに一人座っていた。
オレと同じような考えのやつがいるのか、と思ってよく見たら、岡村がパンをむさぼっていた。
咄嗟に逃げようとしたが、すぐに気が付かれた。
「新名先輩?」
「……」
オレは気まずい。とても気まずい。
しかも逃げようとした足がそのままだし。
このまま挨拶して、どっかに行こうか……。
「来てくださいよ」
無理でした。
岡村はパンをひたすら食べている。
オレは弁当をちびちびと食べている。
会話はない。
気まずい。
岡村の持っているパンを見る。
学食で買うことのできるパンだ。といっても市販でも売っているやつだけど。
それをすでに3つ食べており、まだパンが2つ残っている。
つまり5つ、買っていることになる。
「多いな」
「え?」
思ったことがつい口に出てしまった。
「いや、パン。そんなに食えないだろ」
「……男子高校生ですよ?食欲無限大ですよ。これでも抑えてるほうですよ」
まあ、高校生になって食べる量が増えているとは思う。母さんにもよく嘆かれる。
一つ下の弟はより食べるからか、母さんが食費がー!と言っている気がする。
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