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昼はファミレス。席はオレと翔が隣どおし、岡村は翔と対面する形になった。
翔のクラスメイトがアルバイトをしていたらしく少し声を掛けてきた。
仲良くやっているようで何よりだ。
だけど、岡村と翔はびっくりするほど何も話さない。
翔は明らかに話したそうだけど、どう話そうかと慌てているのが目に見えて分かる。
岡村はさすがに分かりやすい反応に気が付いて待っているようだ。じっと翔を見ている。
それが食事を頼んでくるまでの間ずーっと続いた。
この沈黙が耐えられなくてオレはつい口だしした。
「翔はどんな映画が好きなんだよ」
「アクション映画かなぁ。初めて洋画を見たときとても感動したのがきっかけだし……あ、えっとなめくじさんは?」
「本名は岡村晴彦なので、岡村と呼んでください。オレはファンタジーです」
それがきっかけになったのは少しずつ話すようになった。
翔はきっかけがあれば話すし、岡村はそもそも人と話すこと自体が苦手ではないようだ。
気持ちを読み取れるかどうかは別として。
最初はなんとなく聞いていてわかる内容だったのだが、段々マニアックになっていってオレは早く時間にならないかとだけ考えていた。
もうオレいなくてもどうにかなるだろ、としか思えないし。
岡村は岡村で楽しそうな顔をしているし、翔はどこかたどたどしいけど笑顔だし。
なんかイラつく。
「あ、ちょっとトイレ行ってくる!」
急に翔がトイレに行ったので岡村と二人きりになった。
岡村なんて目もくれず窓を見ていたら急に話しかけてきやがった。
「まさかSNSの友達が先輩の弟だとは思ってなかったです」
「こっちも予想外だっての」
じっとこっちを見てくる。
見てくんな。うざい。やめろ。
「でもあまり雰囲気似てないですよね」
「……まあ、よく言われる」
小さいころは身長180もなくて、小さくていじめられやすかった。
オレはいつも翔を庇っていつも喧嘩していた。
そのせいで避けられることも結構あってそれは少しきつかった思い出もある。
翔本人はいつもありがとう、とお礼を言ってくれたから間違ったことはしてない、と思っているけれど。
昔から気の強いオレと逆に弱い翔。
母さんからはよくそう言われていた。
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