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翔が戻ってきた。
だが、場所が分からないようでキョロキョロとあたりを見ている。
そんなに遠くないぞ。
少しして気が付いたようでオレや岡村のもとにかけよった。
「あ、ここだ!」
「翔君遅いですよ」
翔はごめん、とへらへら笑っている。
そんな翔をみて岡村は少し呆れつつも笑っているように見えた。
オレはそんな二人を見てなぜかものすごくイライラした。
岡村が名前を呼んだあたりから。
あいつは多分、オレと翔を区別しただけだろう。オレは一応先輩だから同じ年の章を名前で呼んだだけで。
「先輩?」「兄貴?」
ほぼ同時に声を掛けられ、正気に戻る。
慌てて時計を見ていい時間だと確認する。
「悪いけどそろそろ約束の時間だから」
「あ、そっか!色々ありがと兄貴!」
オレは逃げるように店を出た。
イライラ。イライラ。
イライラして早足になるのが分かる。
別にいいじゃん。友達なんだし。
名前呼ぶくらいいいじゃんか。
オレと岡村は友達じゃない。
あいつがオレをいらないって思えばもうオレは岡村にとってはいらない存在で……。
そこまで考えて、気が付いた。
オレ、岡村のこと嫌じゃない、と思っていたがそれ以上だ。
弟の名前を呼ばれたとき、オレは。
オレも呼んで欲しい、なんて思っていた。
「嘘だろ」
オレはあいつにとって彼女と浮気したやつくらいで、絶対ありえないのに。
そもそも体を開発されて滅茶苦茶にされたのに。
そもそも空気は読めないし、最初から滅茶苦茶なやつなのに。
好きだと思っている自分がいて、泣きそうになった。
泣きそうになったのは報われないにも程があるし。
あいつはオレを嫌ってる可能性だってあるのに。
「馬鹿じゃねーの」
思わず自虐してしまう。
「何がかな―?」
それに答えた人がいて、オレはさっと彼女を見る。
それはよく知っている人物で、今日約束をした相手だった。
「久しぶり。会うのは半年ぶりかな?」
「北山……」
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