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カラオケで少し歌ってから、服を買いたいというので服屋が集まっているショッピングモールにいく。
普段はあまり行かないんだよな。井上とはオレの家で集まるのが基本だし。休日は家か本屋にしかいかない。
周りには家族連れやカップルが大勢いる。
こんなに人がいるのか、と驚いた。
北山はよく行くからかなんてことない顔をしていたけれど。
どうやら好きなブランドがあるようで、他には目もくれず目的地までさっさーと歩いていった。
なんかその動きを見ていると岡村を思い出してしまう。
まあ北山は早く、と催促してるから違うなとなってしまうわけだけど。
服屋に入っていった北山。テンションが高くこれもいいなー、とか何とか言っている。
見た感じ可愛らしい、けど着こなしやすそうな服があるところだった。
女子の服なんてよく分からんが。母さんはおしゃれじゃないし。
「これとこれ、どっちが似合いそう?」
「……白いほう」
「じゃあこっち買おっと」
わずか3分で買う服を決め、レジに並ぶ。
早すぎるだろう。こんだけ服あるんだからもう少し悩んだほうがいいんじゃないのか?
そもそも服をほとんど買わないオレには基準が分からない。
満足げな北山だったが、顔色を変えた。
「どうかした?」
「見てた、ほらあいつ」
ガン見するとまずいのでちらっと見てみる。
はっきりと分かった。みんなはオレ達を見ておらず、それぞれ会話やショッピングに夢中になっているのに、一人だけ見ている人がいたから。
しかも帽子をかぶっている。室内なのに。
「プリクラ撮るよ」
「待てって!」
あまりに不気味なそいつから逃げるように北山はオレの手を握った。
明らかに震えている。
だけどそれを強く握り返すことはなかった。
プリクラは中学のとき、井上と北山、そしてもう一人の女子の4人で一度だけ撮ったことがある。
オレ達はあまりの顔の変化に笑いながら、女子二人はデコレーションをしていた記憶がある。
北山と二人きりでプリクラ。
ちゃんと笑えていたのか?撮られた写真を見てもその疑問が晴れることはなかった。
しばらくこのショッピングモールをうろうろしていたらあの怪しい男は消えたようだ。
「よかったぁ」
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