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「でも油断は……」
「分かってるよ。でもそれ以降は私が何とかするよ。……今日はありがと。新名と一回でもデートできてよかった」
その言葉は容易にオレの心臓にグサッと突き刺さる。
やっぱり、デートのつもりだったんだ。ふりじゃなくて。
「ごめんね。未練がましくて」
中学卒業式の日。
北山に告白された。
あなたが好きです、と。
オレは断った。北山が本気だからこそだ。オレは、北山の思いに答えられない……。
だけど断った後もそれが正解なのか、分からないでいた。
たまにあっても、ちゃんと話せているか考えてしまう自分がいた。
きっと北山はオレのこんな態度望んでいないのに。
「ねえ、新名君。好きな人できたりした」
オレは岡村を思い、顔が赤くなるのが分かる。
なんであんなやつ好きになったんだ。しかも脅されるのに。
「あーそっか。残念」
「何にも言ってねーだろ!」
「新名君って言葉に出さなくても顔に結構出るから分かりやすいよ」
それは井上にも瞬にもよく言われることだ。
だけど隠そうとしても隠せないのだ。クソ恥ずかしい。
「告白しなよ」
彼女は何処か大人びた笑顔でオレを見ている。
そんな北山をオレは直視することができなかった。
「なんで?」
「だって、後悔するよ。まあ、して後悔したこともいっぱいあるけどさ、もし言わなかったらずっと新名君への気持ちを抱えたまま過ごすってことだし。そっちのほうが辛かったんだよね」
後悔……か。
でも言ったところで何になるんだよ。
オレは、北山から逃げるかのように高校に入ってから女に手を出すようになった。
好かれることも好きになることも怖かった。いじめに対抗するうちに喧嘩もたくさんした。
その影響で問題児のレッテルをはられ、周りから遠巻きに見られることも多かった。
あとで知ったのは、翔をいじめてたやつらの兄が報復でオレの噂を大きく誇張して流していたらしい。
だからだろうか。人に好かれることで周りに被害が及ぶんじゃないかと思っていた自分がいる。
もうそんなことはないことは分かっているのに。
だからライトな関係をずっと続けていた。一回だけ、とかそんなやつ。
そんなときに現れたのが佐々木美穂……岡村の元カノだった。
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