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オレの作戦はこうだ。
まず翔が岡村をファミレスか何処かに呼び出し、その途中でオレが割り込むという割とスタンダードな作戦だ。
問題はオレと翔が兄弟だと知っている岡村に警戒されるかどうかというところか。
「あ、岡村さん!こっち!」
オレは変装をした。
最初は黒いサングラス、深めの帽子、コートを着ていたのだが、翔に反対された。
今は5月だからそれは怪しすぎる、と言われたのだ。
結局母さんが買ってきたけれど自分好みじゃないのでほとんど着ていない服を着て、赤い伊達眼鏡をかける軽装になった。
髪もワックスを掛けて別人っぽくした。
オレは少し離れた席で、ちょうど翔が見えるところに座っていた。
来るかどうかドキドキしていたが、とりあえず来たのでほっとした。
翔が岡村に呼びかける声は聞こえたが、それ以降は全く聞こえない。
翔がタイミングを見て連絡をくれるとは言っていた。
オレは机を指で叩きながらジュースを飲む。
すでに食べ終わり待つしかないオレはそわそわしていた。
翔と岡村は店員さんに何か頼んでいた。
あまり見ていると怪しまれるのでスマホでゲームしつつ、チラチラとみる。
ちょっとだけ周りにも怪しまれてないか気になるけど、それどころじゃない。
今か今かと待ちくたびれていたら、翔が合図を送った。
ちょうど食事が運ばれてきたタイミングだった。
オレは早めに近づいた。
岡村は気が付いていない。ドリンクバーのスペースに近い席を翔がとってくれたからそっちに向かっていると思ったんだろう。……オレだと気が付いてないだけかもしれないけど。
「よお、岡村」
「え……」
肩を叩いて、オレを見た瞬間血の気が引いていったのが分かった。
まさに顔面蒼白とはこのことだ。
珍しく顔に出てる。翔もさすがに驚いたようだ。目を見開いている。
「じゃあ、翔サンキューな」
翔は自分の食事をオレの席に持っていく。
オレの言葉と、翔の行動ですべてを察したようだ。
「そういえば翔君と新名先輩、兄弟でしたね。迂闊でした」
「そういうこった。ま、翔を恨むなよ。オレが無理やり頼み込んだんだ。お前と話がしたくてな」
「……分かりました。でもここではちょっと」
「分かってるよ。お前の部屋でいいだろ」
岡村は食事を急いでとり、オレ達は岡村の部屋に行く。
ちゃんと、話すんだ。オレは拳をぎゅっと握りしめた。
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