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翔は結局お出掛けは自分で誘うと言い出した。
聞いてみると連絡先聞いておいて兄貴に仲介役頼むのって変じゃないか、ということだ。
その代わり好きなタイプとか聞いてくれと言われた。
しかし、井上とそのような話をしたことがない。井上が恋愛に興味がなさそうなんだよな。
なので今井上と話している最中に、どう切り出そうか迷っている。
そんなことをしていたらもう金曜日だ。
「そういえば昨日隣の家の猫がこっちみて撫でてっていわんばかりにお腹見せてたよー。父さんが猫アレルギーだから猫飼えないけど一人暮らししたら猫飼ってみようかなー」
「猫って可愛いよな」
「そうだよね」
ああモヤモヤする!もう言ってしまえ!
井上はまだ猫っていいなーって言ってるけど!
「あのさ!!」
「ん?どしたよ」
「井上って好きな奴とかいる?」
失敗した。
自分の顔が赤くなるのが分かる。
「誰かに聞いてこいって言われた?新名ってそういう話しないし」
「まあ、そんなとこ」
「結論から言うといないよ」
あっさりと言った。
井上は何処か悲しそうだった。
「変なこと聞いたか?」
「ううん。でも新名って恋愛系の話、いくら相手に協力してって言われてもしないと思ってたから意外だなって」
オレ自身、恋愛について考えることはあまりなかった。
そもそも、誰か一人を好きになること自体理解できずにいた。
オレ、変わってきてるんだなあ……。
「別に嫌いなわけじゃねーよ。好きかって言われると微妙だけど」
「よかった」
井上は北山のことを知っている。
同じ中学だし、仲良くなったのは井上とセットだった。
あとから聞いたら恋愛相談されてたらしいし。
だから北山のことがあってから逃げてる情けないオレのことも知っている。
それでも友達でいてくれるなんていいやつだな。
「じゃあさ好きなタイプっているのか?」
「先に新名が言ってくれたら応えるよ」
「オレ?」
好きなタイプ、と言われているのに思い浮かべるのは岡村のこと。
違うし!タイプではないし!
「その様子だと具体的に好きな子いそうだね」
「ち、ちが……!」
ものすごくニヤニヤとしている井上。
図星だから何も言えない。
井上はおそか誰にも付き合っていることは言っていない。
信頼していない、とかじゃなくてまだまだ付き合って1週間も経っていないし、言う必要性すら感じなかっただけだ。
でも、相手のことは伏せて付き合ってることだけは言ってもいいかも。
「……好きな子っていうか付き合ってる子ならいる」
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