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オレは井上がどのような反応をするのか気になった。
井上は驚いた顔をするのだろうか。嬉しそうな顔をするのだろうか。
井上の顔を見てみると、意外とあっさりした顔をしていた。
「付き合いたいって思ったの?」
「まあ……うん」
「そっか。ならよかった」
反応もあっさりとしていて、色々聞かれるんじゃと勝手に身構えていたオレが恥ずかしくなった。
「それで、好きなタイプを教えてくれよ」
その恥ずかしさと情けなさを極力声には出さないよう努めた。
井上はんー、といいながら考えているようだ。目を細め若干舌を見ている。
「犬みたいな子かな。人懐っこくて好きだってちゃんと表現してくれる子がいいな。猫も可愛いけど猫っぽい人は逆に苦手かも」
「犬みたいなやつか」
翔に伝えておこう。
これで翔のお願いは聞いたことになるか。恋バナとか今までしたことなかったから照れ臭い。
でも井上のことチョット知れたのはいいことかもな。
「俺さ、新名に聞きたいことあったんだけど」
「なんだよ」
「岡村君のこと。仲いいの?一緒にいるとこ見かけたって話聞くけど」
確かに一緒にご飯は食べたし、翔と一緒に会った事はある。
それ以外だとレンタルショップでDVDを借りた程度だ。
でもうちの高校の学生が行きそうなところばかりだったし見られていてもおかしくはないか。
「まあ話すようにはなったな。あと翔とSNSで知り合いだったみたい」
「翔君ってことは岡村君も映画マニアなんだ」
井上は一旦考え込む。
井上はいつもこんな感じだ。じっくりと考えてから言葉に出したり、行動するタイプ。
オレは勢いで行動することが多くそれで失敗してしまうことも多いから井上みたいな人は羨ましいしすごいと思う。
「俺も岡村君と話がしてみたいな」
「へ?」
非常に間抜けな言葉が出てしまった。
今まで岡村の話題なんてしなかったし。
「興味あったの?」
「少しね。ほら変人って呼ばれてるからさどんな子なのかなって気になるじゃん」
「まあ岡村に聞いてみるけど」
席を立って岡村のクラスに行こう。
そう考えドアを開けようとしたら急にドアが開いて岡村が現れた。
タイムリーすぎて後ずさりをしてしまった。
「新名先輩?」
「な、なんでここに」
「先輩に用があったので。電子辞書貸してください」
相変わらず表情筋が動いていない。
オレは自分の席にいって電子辞書を取りに行こうとしたら井上が岡村に電子辞書を渡した。
「えっと、確か新名先輩と一緒にいる……」
「井上裕理って言います。よろしくね」
「はあ……」
ニコニコとしている井上。表情が全くない岡村。
オレは黙ってみていたが井上が言っていたことを思い出し岡村に話しかける。
「なあ、岡村。今日暇か?」
「はい。どうしました?」
「ならオレんちでゲームしようぜ。井上も一緒でいいよな。翔はいたら参加する感じになると思うけど」
「構いませんよ。やったことあまりないのでうまくできる自信はありませんが」
あ、なんか嬉しそう。
誘ってみてよかった。
「じゃあ放課後正門で待ってろよ」
「はい」
岡村は井上が渡した電子辞書を持ちながら歩いていった。
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