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岡村と井上は話をしていた。それがいったい何なのかは分からない。オレが部屋に入った途端その会話を終了させたからだ。
それは悪意のあるものではなくただドアの開く音に反応しただけだ。
井上はいつものようにゲームを用意してくれていた。岡村は興味深そうに機械を眺めている。
ゲームしたことない、って言ってたから珍しいのかも。実物みたことないまでありそう。
岡村はコントローラーを握り締め動かない。相変わらず表情はないに等しいが誰が見ても興味津々なのだと分かるはずだ。なんども握り締めそればかりを眺めている。
いつもよのようにパーティーゲームをする。
「えっと、Bボタンって……?」
「それはここにあるよ」
「Bボタンの意味って何ですか」
「意味はないよ。多分?まあ指示通りにやればいいよ」
井上がちょっとだけ口角が上がった。
これ、岡村を見て楽しんでいるな。確かに始めたばかりの翔を思い出すが。
それでもなれるとあっという間だった。
さすがにパソコンやスマホを使うわけだから、置き型ゲームだってそりゃあすぐになれるというものだ。
事実岡村はなかなか上手だった。慣れればもっとうまくなるだろう。
心なしか楽しんでいるようだ。
そんな時間はあっという間に過ぎる。アラームがけたましくなりはじめた。
時間を忘れてしまう傾向にあるためよくかけている。翔がいるときは翔が時間に厳しいのでかけなくていいのだが。
アラームが鳴り響くときはいつも心臓に悪い。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
オレは電源を切り、井上はコップをおぼんに乗せる。
岡村は立ち尽くしぼんやりとしていた。
「岡村?」
「……」
「おいっ」
肩を叩くと今まさに気が付いた、と言わんばかりのアクションをしてくれた。肩をすくませ一歩あとずさり。
表情は氷のように冷たいが、意外と雰囲気とか行動には出るよなこいつ。
「どーしたよ」
「あの、また来てもいいですか」
「は?当たり前だろ?なあ井上」
井上も強く同意してくれた。
「そうだって。だって友達だし」
「友達……」
「うん」
岡村はコントローラーをおさめながら自分の荷物と井上の荷物を持って窓の方にむかっていく。
止める前にピタッと立ち止まる。
「友達……初めてです」
オレは岡村がどれだけ嬉しいのか察しちょっとだけ感動した。
よかったなぁ。
「あれ?新名は友達じゃないの?」
「はい。だって新名先輩は」
「あーー!!!」
岡村が言おうとしていることを察し慌てて止める。
こいつの失言になんで気が付かなかったんだ!感動を返せ!!
「恋人ですし」
オレは期待していた。
いくらなんでもオレの意図くらいは理解してくれるだろうと。
だけど岡村にそれを期待してはいけなかった。
「えっと、もう一度」
「いい!二度も言うんじゃねー!!」
オレの叫びは家中に響き渡った事だろう。
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