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11‐2
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手芸が好きで。中学のころまではぬいぐるみだったり、マフラーだったり、色んなものを作っていた。反抗期でいつも喧嘩ばかりしていた母さんに誕プレで手袋をあげたら喜んでくれたのを思い出す。
それが変わったのは中学2年のとき、初めて新名の家に行ったときだった。
玄関で新名のお母さんがいらっしゃいと言ってくれた。俺の母さんはちょっとメタボだけど新名の母さんはやせているな、と思ったことだけは覚えている。
問題は2階に上がったとき、バタバタと聞こえてくる足音をたてる人物が俺の目の前に現れたときだった。
目の前に天使が現れた、と中二病だった俺は錯覚した。
中学1年の翔くんはまだ小さくてあどけない。
目はくりっとしていてまだ小学生だったころの名残が残っていた。
そして触れたら壊れてしまうんじゃないかと思ってしまいそうな儚さもあった。
俺は彼に一目ぼれをしたのだ。
それと同時に女装させたい性癖まで目覚めさせてしまったわけだけど。
翔くんは3年たってずいぶん変わった。
身長は182センチになり、顔つきも男らしい。可愛さなんてかけらもない。あ、でも笑顔はやっぱり可愛くて仕方ないんだけど。
それでも昔と変わらず恋心も性癖も変わらないままだ。
けど、毎年身体測定のたびに慎重を聞いてそれに合わせたサイズの服を作っている俺はとても気持ち悪いし、気持ち悪いと思われると思う。
俺は今日のことを思い出す。新名と岡村くんが付き合っているといったときのことだ。
そりゃあ驚いた。岡村くんとの接点もよく分からないし。だけど岡村くんと話していたときの新名は楽しそうだった。それだけで十分なのだ。
だけど俺はどうだろう。好きだって言っても関係は悪化しないかもしれない。
だけど、こんなことしてるなんて知られたら……。
それだけで地獄に落とされた気分だ。
何度もやめようと思った。けれどやめられない。
意思が弱いだけかもしれない。でもどうしようもなく妄想してしまうのだ。
俺の作った服を着て恥ずかしがる翔くんの姿を。
それだけで興奮してしまうのだ。
「難儀だなあ」
独り言が誰にも響くことはない。そんなことは知っていてもつぶやかざる追えない気分だった。
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