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「明日どうすんの?」
「何が?」
「何がって……翔と出かけるんじゃなかったのか?」
そういえば、そうだ。
新名に言われて思い出す。
翔くんが場所も含めて任せて欲しいと言っているので任せることにしている。
翔くんとは仲がいいと思っている。
だからといって脈があるか、と言われるとないよなあ。
「うん。楽しみだよ。翔くんと出かけることなんてなかったし」
「ま、楽しめよ」
新名は何ともなさそうな顔をしている。
けれどこういう顔をしているときは何かを隠しているときだ。
さすがに4年くらいの付き合いがあればわかる。だけどそんなに深刻なことでもないよね。
どうせ心配性だから翔くんのことが心配なんでしょ。もう高校生なのに。気持ちは分かるけど。
「新名はどうするの?」
「岡村とDVDでもみて過ごすけど。もう誘いが来てる」
ちょっと顔がにやけてる。
幸せそうでよかったな。
帰りにちょっと話をしたことを思い出す。
はっきりと付き合っているといわれた後にお節介ながら言ったことがある。
あまり言わないほうがいいかもしれないと。
岡村くんはなぜですか、と質問をしてきた。
良くも悪くも素直なところが彼のいいところなのかもしれない。
世の中は綺麗には出来ていない。
汚いこともいっぱいある。たった16年しか生きていなくてもそう感じるのだから、大人になって年を取っていったらもっと複雑なことがあるだろう。
差別。それはよくないことだと思う。けど世の中どうしても比較してしまうものなのだ。
岡村くんは分かりました、とは言っていた。
ひとまず言うことはないと思いたいけれど。
まあ新名自身が動揺してたのを見ていたわけだから大丈夫かな。
そう思うのも、俺自身が性癖に対してこれは差別されるであろうことだ、と思っている部分が強いからかもしれないけれど。
「なあ。井上」
「え、何?」
聞いていなかった!
考え事をすると耳が遠くなる。
「いやさ。スマホ鳴ってる」
「あっ」
急いでサイレントに変更する。
翔くんから連絡が来た。
明日よろしくお願いします!
それだけ書かれた文を送ってきた。今は昼休憩の時間だ。
「どうした?」
「翔くんから明日よろしくって連絡だけ来た」
「あーあいつ寝ぼけてるだろ。多分もう少ししたらまた翔から来るだろ」
その前にチャイムが鳴ったので確かめることはできなかったが、家に帰ってみてみると確かに昼休憩が終わって10分後に連絡が来ていた。
夜だと思ったら昼でした!明日9時集合がいいかなって思ってます!返事ください!
新名はさすがに兄だ。弟と仲がいいしやっぱりよく理解している。
それに少しだけ嫉妬しちゃった。
OK,と送ったらすぐに『ありがとうございます!』と送られた。
今日はバイトじゃないのかな。シフトが結構バラバラみたいだからいつバイトに入っているのか分からないんだよね。
とりあえず今日は早く寝よう。明日に備えるために
電気を消し布団にもぐると羊を数えるまでもなく深い眠りにつくことができた。
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