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ふたりのカタチ #1
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引っ越しの次の日。
昨日は夜中までみんなで騒いで、雑魚寝して、修君はちょっと不満顔だったけど、
おいらは楽しい時間と引っ越し疲れですぐに眠りについた。
隣の修君の足が、おいらの足をトントンしてたけど、睡魔の方が威力が強くて……。
目が覚めたら、マー君だけ起きて、帰り支度をしてた。
「……もう、帰る?」
眠い目を擦りながら言うと、マー君はニコッと笑ってうなずく。
「うん。まだ早いから、寝てていいよ。適当に帰るから。」
「ううん。起きる……。」
でも、なかなか目が開かない。
「いいって。でも、悪い!片づけだけはごめん。」
そう言って洗面所に行くマー君。
「大丈夫。……やっておく……ふわぁ~。」
欠伸を噛み殺して、戻って来るマー君を待ってみたけど、なかなか戻って来なくて……。
気付くと、二度寝してた。
結局、マー君はいつの間にか帰っていて、
カズとジュン君は、ゆっくりコーヒーを飲んで帰っていった。
ジュン君の淹れたコーヒー。
いつ飲んでも美味しい。
「ジュン君のコーヒー美味しい。」
そう言うと、ジュン君が照れ臭そうに笑う。
「いつでも飲みにおいで。」
「でも、ジュン君が結婚しちゃったらそういうわけにもいかないでしょ?」
「大丈夫、智なら。」
「え~!!ジュン君、結婚するの?」
カズのびっくりした顔!
おいら達、いつ結婚しても当たり前の歳なのに。
「ははは……まぁ、そういうことになりまして。」
ジュン君がはにかんで笑う。
「ジュン君も、とうとう年貢の納め時ですか~。」
その顔を見て、びっくりしてたカズも嬉しそうに笑う。
「そう……なのかな?」
ジュン君の顔が幸せそうで、おいらも思わず笑顔になる。
「カズは?まだ?」
ジュン君がカズに聞くと、カズが鼻で笑う。
「私が結婚向きだと思いますか?」
修君とジュン君が顔を見合わせて、同時に顔を横に振る。
「まぁ、世間の評価もそういうことです。」
その言い方に、おいらが噴き出すと、みんなも一緒になって笑った。
仕事を休みにしていた修君は、みんなの帰ったリビングを見てにっこり笑う。
「これでみんないなくなった。」
「だから……片づけしよ?」
おいらはテーブルの上を端から片づけていく。
段ボールはゆっくり片づけるにしても、お皿やグラス、缶、クッしゅンやら毛布、
このままにはできないもんね?
「いいから……。」
修君がおいらを後ろから抱きしめる。
「修君……。」
おいらは首だけ後ろを振り返る。
「初めての……まだしてない。」
振り返ったおいらの頬に、チュッと唇を当てる修君。
「まずは片づけ。」
「ちぇっ。」
「ちぇじゃないから。」
おいらは笑って手を動かす。
いつまでも背中にへばりついてる修君が嬉しいけど、邪魔で……。
みんなに会ったせいか、ちょっと幼くなってるとこも可愛いんだけど……。
まずは片づけ!
「智~。」
「……修君……。」
「離れたくない。」
ぎゅっと修君の腕がお腹を締め付ける。
「おいらだって……。」
手を止めて、修君の腕の中で、クルッと体を回転させる。
目の前の修君の顔を、両手で挟んでじっと見つめる。
「離れたくないよ?ずっとくっついていたい。……したいし……。」
「智!」
修君の目が輝く。
「でも、でもね?した後の……余韻も楽しみたい……。
ここがこんなに散らかってたら、気になって……。
修君と一緒のベッドから、すぐに出る気になれないし……。」
「智……。」
「だからね。一緒にさっさと片づけちゃお。それから……ね?」
おいらは修君の背中に腕を回す。
「ずっと抱きしめててくれるんでしょ?」
「もちろん……。じゃ、さっさと片づけますか!」
「ありがと。修君。」
やっと離してくれた修君は、テキパキと片づけていく。
なんでも合理的にこなす修君は、やり始めると丁寧で早い。
きっと仕事もこんな感じなんだろうな。
ミスなく、素早く……。
「ああ、この棚の位置、動線、よくないね。」
業務改善も怠らない感じ?
効率を重視して、自分の時間を上手に作る……。
おいらがクスッと笑うと、修君がはてな顔でおいらを見つめる。
「何?突然笑って。」
「ん?なんか、修君、仕事できるんだろうなって思って。」
「どうだろ?手は抜かないけど……智が風邪引いたら、仕事なんかすぐ休むし、
出張は断るし……真面目ではないよね?」
修君が片目をつぶる。
おいらはさらに笑う。
「いいよぉ。風邪くらいなら休まなくても。
入院とかになったらお願いしなくちゃならないけど。」
おいらはテーブルの上の皿を持って、キッチンへ行く。
「そうだ。それも先に行かなくちゃ。」
「それ?」
「そう!家族だと、役所に認めてもらいに。」
修君がニコッと笑った。
「……結婚するわけでもないのに、家族と認めてもらえるの?」
「……ここなら認めてもらえるんだよ。だから、ここに家を買った。」
修君が自慢げに笑う。
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