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答えてほしい
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頭を優しく撫でる感触に、ふ、と意識が覚醒する。
どうやら寝てしまっていたらしい。
わずかに身じろぎすると、男の手は俺の頭から目元、頬、首筋へとゆっくり降りていった。
その辿り方にぞくぞくとしたものを感じ体を震わすと、頬に口付けられた。
「…、あんたの名前って、蓮矢っていうの?」
ダメ元で聞いてみたけど…男は俺の質問に答えたことはない。今だって緩く体を撫でる手が止まっただけで、特に返答はない。やっぱり会話なんてできないのか、…と、思った矢先、
「……そうだ」
「えっ」
男は初めて俺の言葉に答えた。
予想よりも透き通るような声音だった。
「…あ、そうか…合ってて、よかった」
何が良かったのか自分でも分からないけど、とにかく男から言葉が返ってきたことに心底驚いた。
今まで答えなかったのにどうして答える気になってんだろう。
「あのさ、いくつか、聞いてもいい…?」
「…ああ」
恐る恐る聞いてみると、また返事があった。
「…蓮矢…さんは、俺の知り合い?」
「蓮矢、でいい。…そうだ、知り合い。もしかしたら稔は覚えてないかもしれないけど」
「…、…いつ」
「内緒、だ。稔が思い出してくれたら嬉しい」
「…。どうして、俺のことを監禁してるんだ?」
蓮矢は距離をつめてきて俺を抱きしめた。
「…好きだから」
「…っ」
会話のキャッチボールが出来るのは正直嬉しい。
少なくとも言葉が通じない相手じゃないってことがわかった。
「…何歳」
「23」
俺より二個上。
奏太さんと同い年ということか。
「奏太は俺の同級生だよ」
「…そ、そっか」
見透かすような蓮矢の言葉に、ドキリと心臓が跳ねる。
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