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それが幸せ
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「…大丈夫か?」
「…っ」
脱力し、呼吸を荒げながら横たわっていると、蓮矢が気遣うように俺の頬をなでる。
俺のことを想っているというなら、こういう行為はやめてほしいし、家に帰してほしい…
「…、…疲れた…」
「…」
蓮矢は俺を座らせ、体を洗い始めた。
俺はぼんやりしながら為すがまま。抵抗する気力もないし、洗ってる時は性的なことはされないから身を委ねる。
一通り洗い終わると湯船に浸からされる。
二人一緒に入ると少し狭いくらいの広さだ。風呂場の熱気にぽーっとしながら、力を抜く。蓮矢は後ろから俺を抱きかかえて、時折首筋に擦り寄ってくる。
「あつい…」
「のぼせる前に出ような」
「…」
風呂から上がると、いい香りのするタオルで拭かれ、髪の毛をドライヤーで乾かされる。そしてシャツを着せられ、ベッドに寝かされる。
まるでペットか人形にでもなった気分だ。
「……俺にこういうことして、楽しいのか?」
「楽しいというより…何だろうな、幸せ、かな」
「…幸せ…」
やっぱり感覚が狂ってる。俺のことをこういう風に世話することが幸せってどういうことだ。
「稔には何でもしてあげたい」
「…じゃあ、家に帰して…」
「それはだめだ。外は危険だらけなんだから」
「俺はつい最近まで外で普通に暮らしてたんだけど…」
強く反論する気になれない。
風呂上がりで頭がぼやけてるせいもある。
「それに視力も戻っていないから、ここにいた方が安全だ。奏太もそう言っていた」
「…へー」
俺を「逃がしてあげるよ」なんて言っていた奴は、やっぱり蓮矢とグルだったんだ。きっと逃がすつもりなんかない。試されていたのかもしれない。
信用しなくてよかった。
「俺は稔の幸せを一番に考えてる。でも稔の『外に出たい』ってお願いは叶えてやれない。色々と不安なことがあるかもしれないが、大丈夫だ。俺はずっと稔の味方だから。奏太も協力してくれてるし、安心してくれ」
「…」
ちっとも安心できないことを吹き込まれながら、俺は意識を断ち切ることに専念した。目を覚ましたときに、少しでも事態が変わっていることを願いながら。
…叶わない願いだなんて、言わせない。
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