アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
記憶を辿る
-
断片的に、記憶が思い出される。
遠い、遠い、幼い頃の記憶。
日に日に体の接触が増えていった。
露骨な言葉で誘われるようになった。
気付いたときには、恐怖で逃げられなくなっていた。
俺は…実の父親に『そういう目』で見られていた。
両親が離婚して、俺が父親方に引き取られることになったときの絶望感は凄まじかった。
母さんは、俺のことを簡単に手放した。
…恋人が外にいたらしい。俺は邪魔な存在でしかなかったんだろう。
俺は父さんにされていることを誰にも言えず、ただただ、怖さに震えるしかなかった。抵抗もできなくて、少しでも反抗的な態度をとれば食事を抜かれ、殴られ、罵倒された。でも最後は「お前のことを愛しているんだよ」と頭を撫でる。
たったそれだけのために、俺は父さんの機嫌を取ろうと必死になった。今考えると、その時は父さんに見捨てられたら生きていけない、と思い込んでいたんだな、と思う。
俺のことは、学校でも先生たちの間で噂になっていたらしい。たぶん、虐待だと思われていた。
でも、上手くいかなかった。何回かそういう施設の人がうちを訪問して父さんと話してたけど、それだけ。みんな父さんの外面に騙されてしまう。
クラスにも居場所がなかった。もともと特定の誰かと仲良くしていたわけじゃないし、色々な噂や憶測が親から子どもに伝わっていたらしく…俺と仲良くしようとする人なんていなかった。
俺がひとこと、「たすけて」と伝えていたら、何か変わっていたのかな。
「…頭、痛い…」
携帯を握りしめながら、よろよろと歩く。
俺はまだ、何か大切なことを忘れている気がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 103