アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君を守るために③ (※虐待表現注意)
-
**
「…あの、父さん…話って、何…」
「ああ、稔。そこに座りなさい」
「は、はい」
怯えながら父さんの向かいに座る。
俺は何かしてしまったのだろうか。
気に障るようなことをした覚えはないけど、些細なことで父さんは豹変する。
もしかしたら俺が気付いていないだけで、何かが父さんの怒りに火をつけたのかもしれない。
「最近、帰りが遅いな」
「そ、そうかな…」
「ああ。学校が終わってから、寄り道してるんじゃないか?」
「が、学校で、係の仕事したりして、遅くなることが、あって…」
「…そうか」
嘘じゃない。
文化祭の準備で少しだけ残ることがある。
そのあとれんくんに会ってるから、確かに帰りは遅くなってしまうけど。
「…これは?」
「え…」
父さんが携帯の画面を見せる。
そこには、あの公園で楽しそうに話している俺とれんくんが写っていた。
「これ、は…」
「ダメじゃないか、稔」
「っ、ひ…っ!」
ぐい、と前髪が掴み上げられる。
痛みと恐怖で体が硬直してしまう。
「お前は今、隠し事をしたな」
「ごめ、ごめんなさい…っ」
「寄り道をしているなんて、悪い子だ…」
「…っ、あ!」
ガッ、と握り拳で殴られる。
目の前がチカチカする。血の味もする。
口の端が切れてるかもしれない。
「ぁ、うぁ…っ、あ…」
「ああ…しまった。顔に怪我が。仕方ない…しばらく学校は休みなさい」
「や、やめ、…父、さん…」
「もう母さんもいないし…自分のことは自分でできるな? 俺も忙しいから、一日中は一緒に居てやれない」
「ご、ごめんなさい、痛いの、いや、いやだ…っ」
「少し大人しくしなさい」
「がっ、ぐ…げほ、ごほっ」
腹を蹴り上げられる。
ダメだ、こうなったらもう止められない。
暴力がやむまで待つしかない。
「そうだ…この子にも、稔と仲良くしてることにお礼を言わないとな…」
「!!や、いやだ、そんなこと…っ」
「どうしてだ? それはお前にとって…この子が『大切 』だから?」
「そ、れは」
「どうなんだ? 父さんよりもこいつと会う方が楽しいのか?父さんよりも好きなのか?父さんよりもこいつを優先するのか?」
話している最中も父さんは俺をなぶり続けた。
もし、もしも、父さんが れんくんに会ったら、れんくんも酷いことをされるかもしれない。
ダメだ。
そんなこと絶対ダメだ。
「とう、父さんの方が、大切、だから!」
「そうなのか?」
こくこくと泣きながら頷くと、父さんは満足げに微笑んだ。その笑みにぞっとする。
「じゃあ、もうこいつに会うことはやめなさい」
「…っ」
「約束できるね?」
「でき、できる…っ」
「いい子だ」
絶望に染められていく心の中で、ひとことだけ、れんくん、と呟いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 103