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君を守るために④ (蓮矢視点)
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稔と出会ったのは小6の時。
たまたま公園の脇を通った時に、男の子が泣いているのが見えて、心配で話しかけたのが出会いだ。
それから何度も会って、話して、遊んだ。
話しているうちに、稔は隣の小学校に通っていることが分かった。どうして遠くの公園に来ているのか不思議だったけれど、特に詮索はしなかった。
俺に心を許して慕ってくれる稔は可愛い弟のようで、手放したくなかったからかもしれない。
「れんくんは、他の子と遊ばないの?」
「みのるといる方が楽しいよ」
「そっか…」
嬉しそうにはにかむ稔が可愛くて可愛くて、ぎゅーと抱きしめたい衝動に駆られたけど我慢した。
*
稔と会うのは楽しかったけど、心配な部分もあった。稔は学校帰りにそのまま公園に来ているようだった。親が心配するんじゃないかな、とか、泣いていたのは誰かに虐められているからなんじゃないかな、とか…
特に、俺が中学に上がってからは部活も始まって、公園で会える時間が遅くなったし、頻度も毎日というわけにはいかなくなった。
それでも公園に行くと稔はいて、俺を見つけると嬉しそうに走り寄ってくる。
その可愛さに心奪われてしまっていた俺は、何とか稔と会う時間を増やそうと躍起になったのを覚えている。
「れんくんは、何部に入ってるの?」
「文芸部だよ」
「ぶんげい…」
「小説書いたりとか、読んだりとか」
「そうなんだ。俺も本読むの好き」
「同じだね」
「うん!」
このときはまだ、「可愛い弟」くらいにしか考えていなかった。守ってやりたいと強く願っていたのも、年長者だから、という気持ちからだったと思う。
ぱたり、と会えなくなったのは俺が中1の終盤くらいに差し掛かった頃だ。
公園に行っても稔がいない。
1日、2日、3日…1週間経っても、稔は来なかった。
「…他に楽しいこと、見つけたのかな」
俺が忙しくなって、毎日会えなくなったし、俺と会うよりも楽しいことなんてたくさんある。むしろ今までここに通っていたのが不思議なくらいだ。
寂しさを感じたけれど…家の場所すら知らないから聞きに行くこともできないし、そもそも会う約束をしてるわけでもなかった。
せっかくできた弟のような存在がいなくなって、心に小さな穴が空いたような気がした。
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