アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君を守るために⑥ (蓮矢視点)
-
家に入ると、母さんがタオル片手に小走りでやって来た。稔がびしょ濡れだったことに驚いたようだったけど、すぐにタオルで水気をとって、「お風呂に入っていくといいわ」と微笑んだ。
そして、恐縮して断ろうとする稔を風呂場に連れていき、シャワーを浴びさせた。ひとまず安心。
入ってる最中、俺の服を持ってきて、かごに入れてあげた。濡れたシャツや下着は洗濯機に放り込む。
「ね、蓮矢。あの子が稔くん?」
「そうだよ」
「顔の傷、どうしたのかしら…」
「…今、風呂に入れたんだけど…体も、結構傷があった。最近のかなっていうのもあったけど、古そうなのもあったかな…」
「そう…」
ぱっと見ただけでも、鬱血したあとがたくさんあった。たぶん、殴られたり、強く掴まれた時にできるような、そんな傷。
稔が風呂から上がったあとは、ホットミルクを飲ませてあげた。母さんは夕飯も食べさせてくれる気らしく、追加で作ると言っていた。しばらく時間がかかる、と言われたので、所在なさげにしていた稔を俺の部屋に連れていくことにした。
「少し落ち着いた?」
「…うん。ありがとう…」
ぽそぽそと呟き、稔は影のある瞳でうつむいた。
俺よりもひとまわり小さい感じで、抱きしめたらすっぽりとおさまりそうだな、と思った。
昔はこれよりもっと差があったなぁ、とぼんやり考える。
「その…ごめん…れんくん…」
「ん?」
「迷惑、かけてる…よな」
「そんなこと思ってないよ。連れてきたのは俺だしさ」
「でも…」
「あ、家に電話する? もしかしてお父さんが心配して…」
「それは嫌だっ!」
力一杯拒絶され、一瞬固まる。
すると、稔はみるみるうちに真っ青になり、「…ごめん…」と一言 呟いた。
「…稔」
「な、何?」
「俺は稔の味方だよ」
「え…」
「稔に酷いことなんてしない」
「…れんくん…?」
床に座る稔に近づき、優しく抱きしめる。
稔は一瞬ビクッと震えたけれど、優しく背を撫でてやると、恐る恐る手を回してくれた。
可愛い稔。ドロドロに甘やかして、優しくして、どんなものからも守ってあげたい。
心の中で、自分の知らない自分が声を上げる。
「れんくんに、こうされるの…すごく、安心する」
「よかった」
頭を撫でると、嬉しそうに微笑んでくれた。
昔と変わらない笑顔でホッとする。俺のことを信頼してくれているのが、たまらなく嬉しい。
しばらく優しく撫でていると、稔の顔が段々悲しげなものに変化していく。
「稔…?」
「……、…お前は逃げられないって…」
「…?」
「…逃げようとしたら、殺すって…」
「!誰がそんなことを」
稔がぽろぽろと涙をこぼす。
そして決壊したように、稔は今まで父親にされていた仕打ちを話し始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 103