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君を守るために⑦ (蓮矢視点)
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「…そうだったんだ…」
「ごめ、ごめん、れんくんに、迷惑かけたく、なかったのに…結局、あの公園に、行っちゃって…も、耐えられなくて、怖くて、痛くて…れんくんに、会いたくて…それで」
「…稔、大丈夫だよ」
優しく抱きしめると、稔は泣きながらしがみついてきた。可愛い稔。俺を守るために我慢することを選んでくれたんだね。
「今度は俺が稔を守るよ」
「…、ダメ、だよ…」
ゆっくりと稔が離れていく。
体温が離れてしまうことに寂しさを感じてしまう。
「稔、」
「だって、本当は俺…れんくんに、抱きしめてもらう資格なんて、ないから」
「資格って何? 俺は自分の意思でやってるよ」
「ダメだよ…だって、俺の身体、汚いから」
「汚くないよ。どうしてそんなことを…」
稔は怯えながら目線を落とす。
「暴力、振るわれてるのも、そうだけど…俺、父さんと、せ、セックス、しちゃってる、から」
「…」
涙をこぼしながら、稔は膝を抱える。
実の父親に性的虐待をされてる、なんて…すごく、苦しいことだと思う。俺が簡単に「分かるよ」なんて言えないことだ。
でも…
「稔は綺麗だよ」
「ち、近付かないで」
「どこも汚れてなんていない」
「れんくん、やだ…っ」
「俺は稔のことが大好きだよ」
微笑み、頬を撫でる。
そっと顔を寄せる。
稔は、逃げなかった。
「…っ」
柔らかく口づけをする。
ついばむように何度も何度も触れるだけのキスを繰り返す。
「れん、くん」
「俺が塗り替えてあげる」
「ん…っ」
「怖い思い出も」
「は、ふ…、んん…」
「痛い思い出も」
「ひゃ、…ん、ん」
「全部、全部…」
次第に稔の表情が蕩けたものになってくる。
可愛い。俺の、稔。
「蓮矢ー、稔くーん、ごはんできたわよ」
「…っと、はーい、今行くよ。稔、ごはん食べようか」
「れんくん…」
「? なぁに」
稔が恥ずかしそうに俺の服の裾を掴む。
「ごはん、食べたら……今の、もっと、して」
「…!もちろん」
…。
分かってる。今の稔は弱ってる。
だから、俺のことも受け入れてくれている。
その時の俺は、傷に付け入ってでも、稔のことを手に入れたかった。
*
夜、稔を寝かしつけてから飲み物をとりに下へ降りると、父さんと母さんが難しい顔をしながら話し合っていた。
「稔くんの中学校と、児童相談所には連絡をしたの」
「そうか。施設に入ることになりそうかい?」
「ええ、近々そうなると思う。それまではうちで預かってもいいって」
「そうだな。家に帰すわけにもいかない」
稔はうちから学校に通うことになった。
夜はうなされることもあったけど、俺が抱きしめてあげると静かに眠れるようだった。
心配で、しばらくは近くまで迎えにいっていた。
そして数日後…施設への入所が決まった。
「あの…ありがとうございました…」
「いいのよ、またいつでも遊びにいらっしゃい」
「稔くんなら歓迎だよ」
俺と、父さんと母さんに見送られ、稔は施設へと去っていった。少し遠くにあるらしいから、毎日は会いに行けない。でも、ちょくちょく顔を出そうと思っていた。
これでやっと、稔は暴力に晒されなくなる。
よかった。
…でもそれは、甘かった。
稔の父親の異常さを軽んじてた。
まさか稔を待ち伏せして連れ去るなんてこと、考えていなかったんだ。
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