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幸せな時間
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「稔、大丈夫か…?」
「…ん…平気…」
ベッドに横たわりながら、ぼんやりと蓮矢を見つめる。優しく髪をすかれてくすぐったい。
「無理をさせて、ごめん」
「そんなことない…俺、嬉しかった、から」
「稔…」
ぎゅ、と抱きしめられ、「幸せだなぁ」と思う。体を重ねたあとに、こんな風にあたたかい気持ちになるのは初めてだ。
「…どうする? シャワー浴びるか?」
「ん、…もう少し、このままでいたい……いい?」
「ああ、もちろんだ」
優しい微笑みにドキドキとしてしまう。
蓮矢は俺に酷いことをしない。それが分かるから、俺は安心して自分の気持ちを伝えることができる。
「…稔…」
「ん…?」
そっと口付けられる。
抱きしめ合いながら、緩く繰り返されるそれに、心が満たされていく。
監禁されていたときは『れんくん』だとは気付かなかったけれど、目を閉じ、触れてくるその手を感じ…昔から変わらないその優しい触れ方に、どうして気付けなかったんだろうと不思議だ。
「…蓮矢は…俺のこと、ずっと好きでいてくれたんだよな…」
「そうだ。稔が愛しくてたまらなくて、ずっと、また会いたいと思ってた」
「…っ、そ、そっか」
10年近く想われていたという事実が嬉しかったけれど、ストレートな言葉には照れてしまう。目線をさ迷わせると、くすりと笑われた。
「…俺も、その…昔、会った頃、れんくんに救われてて」
「そうか…寄り添えていたなら、よかった」
「今はその時以上の気持ちっていうか、…蓮矢のこと、好き、だよ」
にこ、と微笑みながら精一杯の気持ちを伝えると、一拍置いてから、強く抱きしめられた。
「…ありがとう…嬉しい…」
「蓮矢…?」
蓮矢の肩が震えている。
…泣いてる?
「ごめん…俺は稔の嫌がることもしたのに」
「嫌がること? 蓮矢にそんなこと…」
「稔を閉じ込めた」
「…ああ、うん、まぁ…そうだな。でも何も見えなくて、頼れる人もいなかった俺のこと、守ろうとしてくれたんだよな?」
蓮矢が無言でこくりと頷く。
頭を撫でると、さらに強く抱きしめられた。
ちょっと苦しいけど、その温かさに安心する。
「な、蓮矢…」
「うん?」
「…大好きだ」
そっと自分から口づけると、蓮矢は驚きながらも、幸せそうに微笑んでくれた。
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