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不安の種
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「…河瀬、ごめんな心配かけて」
「俺はいいけど、体調は大丈夫なのか? 何ならまだ休んでも…」
「だ、大丈夫」
バイト先に顔を出した時、たまたま配送先から戻ってきた河瀬に会った。河瀬はだいぶ心配してくれていたようで、一日中何かと気にかけてくれた。
そして、仕事終わりに呼び止められ、いつかのように缶ジュースを渡された。
いい奴だなぁ、と感じるのは相変わらずだ。
「最近、休んでばっかりで迷惑かけてるよな…」
「そんなことないって。まぁでも、代打で滉が来たのは驚いたかな」
「え、滉と知り合いなのか?」
「ああ。高校の頃の友だち…というか、俺としては露原が滉と知り合いだって方が驚きだな。あいつと何か接点あるのか?」
「あ、あーっと…知り合いの、そのまた知り合い、かな」
「ずいぶん遠いな」
「そ、そうだな。俺も、あんまり面識ないのに代わりに出てくれたって聞いてビックリした」
「露原が高熱ですごくうなされてる…って聞かされて、『じゃあ俺が代わりに出ればいいんじゃね?』って思ったみたいだな」
「…そうなんだ」
だとしたら相当いい人だ。
滉は奏太から聞いたと言っていたけど、どんな風に、どこまで、何を聞いたんだろう。
高熱でうなされてた…か。
本当に知らされていたのはそれだけなんだろうか。
例えば俺が城戸たちにされていたこと、とか。
何も知らないんだろうか。
それともすべて知られてしまっているんだろうか。
*
実は仕事に復帰するにあたり、蓮矢と少し揉めた。
揉めたというか…「着いていく」と言う蓮矢を止めるために話し合ったというか。
俺としては、確かに外に出ることが不安ではあった。でも、いつまでも蓮矢に守られてるだけではいけないとも思った。
だから、何とか蓮矢には納得してもらって仕事に復帰したんだけど…その際、いくつか約束をした。
帰るときは連絡を入れる。
夜に電話をする。
週末は蓮矢の家に行く。
…もしかしたら一般的には束縛が強い、と感じることかもしれないけど、俺は嬉しいって気持ちが勝った。だって、俺のことを心配してくれてるってことだし、俺だって蓮矢と色々話したいし、会いたいし、近くに感じたい。
その約束をしてから1週間と少し。
特に問題もなく過ぎていったと思う。
夜は蓮矢の声が聞けるし、この前の土日は蓮矢の家にお邪魔した。
このまま、何事も過ぎていくんだろうな、と思っていた。でも、
「…よう、稔」
「…!城戸…」
一番会いたくない奴に待ち伏せを、された。
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