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不可解な行動
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じり、と後ずさる。
無理矢理犯された恐怖がまだ脳裏に焼き付いている。携帯を握りしめ、蓮矢に助けを求めようかと悩んだけど、城戸は見たところ一人だ。これくらいなら大丈夫かもしれない…と思い、かけることを躊躇う。
ギ、と城戸を睨むと、困ったように首を振られた。
「…んな警戒しなくても、何もしねーよ」
「信じられるわけ、ないだろ」
「ま、そりゃそうか…だけど、何だ、…謝りにきた、から」
「は…?」
訝しげに城戸を見る。
そういえば、顔の左半分が腫れていて、治療が施してある。口元も血が滲んでいて、最近の傷のように見える。
「…?城戸、何で怪我…」
「お前ほんとお人好しだな。俺のこと心配すんのかよ」
「…」
む、として眉根を寄せると、目を反らされてしまった。一体何だっていうんだ。
「…悪かった。何なら殴れ」
「急に、何だよ…」
「…ま、そうなるよな……つーか、訴えられるレベルのことしたけどよ…」
「…」
「許されたいとか、そーいうのも思ってねーし」
「じゃあ、何で」
「…とにかく、悪かった。訴えたいならご自由にどーぞ。これ、受け取れ」
ちぎったあとの残る紙を渡される。
そこには城戸のフルネームと住所、電話番号が書いてあった。
「使わないなら捨ててもいい」
「…おい、城戸!」
「じゃあな」
城戸は背を向け、歩き出そうとする。
慌てて腕を掴むと、怪訝な顔をされた。
「こ、こんなこと、されても…お前たちにされたこと忘れられるわけないし、何だよ…じゃあ、どうして、俺のことあんな風に…っ」
「…興味本位」
「はぁ?!」
その言葉と態度にカチンときた。
興味本位で俺にあんなことを強いたのか。
「ふざけんな…っ!俺がどんな、気持ちで…っ」
「…ただ、目が…」
「目?」
「…何でもねーよ。殴りたいなら殴れ。抵抗しねーから」
「…っ」
右手を握りしめ、けれど、ふ…と力を抜いた。
「殴らないのか」
「殴っても何も解決しない、から。それに暴力でどうこうするのは、好きじゃない」
「はは…そうかよ」
「でも、もう近付かないで、ほしい」
「…ああ、俺も命は惜しいからな」
「…?」
「じゃーな」
そう言うと、城戸はよろつきながら去っていった。
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