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声を聞きたい
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「…あ、もしもし、蓮矢?」
『こんばんは、稔。仕事お疲れさま』
「ありがとう」
蓮矢の声を聞くと安心する。
ホッとしながら話ができる。
「…今日さ、城戸に会ったよ」
『…っ!稔、今どこにいる?』
「あ、大丈夫…何もされてない。っていうか、謝られた。今はもう家だよ」
『そうか…ごめん、そばにいられなくて』
「大丈夫。蓮矢だって仕事あるし、四六時中俺のそばにいるなんて無理なんだから」
『…まだ家にいる?』
「ん?ああ、今日はもう外出しないよ」
『分かった』
「?え、あ、蓮矢?蓮矢ー?おーい…って切れちゃったよ…」
着信終了の文字を見ながら、時計を見る。
夜の21時。社会人としてはそんなに遅い時間じゃない、けど…もしかして。
そして30分後。自宅のチャイムが鳴った。
そーっとドアの覗き穴を見ると、そこには予想通り蓮矢の姿があった。
「こんばんは、稔。開けてもらえるかな」
「蓮矢…その、来てくれたんだ」
鍵を開け、蓮矢を招き入れる。
もう少し片付けておけばよかったなぁと後悔しつつ、狭い室内に通す。
「散らかっててごめん…」
「稔」
「わ…!」
後ろからぎゅ、と抱きしめられる。
その密着具合にドキドキしながら、蓮矢を仰ぎ見る。
「どうかした…?」
「…稔が怖い思いをしたから…居てもたってもいられなくなった」
「大丈夫だよ」
「…でも、何も感じなかったなんてことはないだろう」
「…そりゃ、まぁ、会ったときは…怖かったかな…でも、何もされてないし」
「何かされていたら、俺はそいつに何をしていたか分からないな。そもそも、会いに来るなんて神経を疑う」
「心配してくれてありがとう…蓮矢の声聞けて、会いにも来てくれて…すごく、嬉しい」
「稔…」
向かい合わせになり、そっと口付けられる。
甘くて柔らかくて、安心できるようなキス。
「…ん…、んむ…」
「稔…俺が守るって言ったのに…約束を守れなくてごめん」
「充分守られてるから大丈夫。こうして会いに来てくれたし」
にこ、と微笑むと愛しそうに頬を撫でられ、再度口づけを落とされる。次第に深くなっていき、思考がどんどん蕩けていく。
蓮矢のキスは好きだ。愛しいと想われていることが分かるし、脳内をどろどろに溶かされるような気持ちよさもある。
蓮矢はどう思ってるんだろう…正直、俺の技巧は底辺だろうから、満足させられてないんじゃないかと思う。
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