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そばにいたい
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休日の過ごし方が最近定着してきた。
前の日の夜に蓮矢の家に行き、そこから次の日帰るまでずっと一緒にいる。
蓮矢の仕事が終わるまで読書しながら待ったり、一緒に料理をしたり、他愛のない会話をしたり。
最近は一緒にスーパーに行って買い物をすることもある。何だか新婚みたいで嬉しい。
それから、夜も…
「…っ」
ソファーに座りながら、顔を押さえるようにクッションをぎゅう、と抱きしめた。蓮矢とのあれそれを思い返すと、夜の営みも思い出されてしまい、顔が火照る。
何も体を重ねることだけをしているわけじゃないけど、あの記憶は強烈で忘れがたい。ただ、気持ちよすぎて意識を飛ばしてしまうことも多々あるから、蓮矢に申し訳ないけど…
「稔、起きてる?」
「あ、お疲れさま。休憩?飲み物入れようか」
「大丈夫。それより稔を補充したいな…いい?」
「わ、わかった」
おずおずと両手を開くと、蓮矢がそっと抱きついてきた。これも習慣になりつつあることで、蓮矢は疲れたとき俺にハグを求めるようになった。
それ自体は何も問題ないけど、まだ少し照れがある。それと、ドキドキしてしまっているのがダイレクトに蓮矢に伝わってしまうから、恥ずかしい。
「…心臓、ドキドキしてるな」
「だ、だって、……す、好きな人に、抱きつかれたら、こうなる…」
しどろもどろになりながら答えると、蓮矢は嬉しそうに微笑んだ。真っ赤になっているであろう顔を見られたくなくて、蓮矢の頭を抱えるように抱きしめる。
「…稔、」
「ん…?」
「今度の週末も一緒にいられる?」
「うん。特に用事はないから来る予定だけど…何で?」
ゆっくりと蓮矢が離れていく。あたたかい体温がなくなってしまい、少し寂しくなる。
「仕事が一段落するんだ」
「あ、そうなんだ。お疲れさま」
「だから…」
優しく頬を撫でられる。
その仕草だけで、俺はきゅう、と胸を掴まれた気分になる。
「デート、しよう?」
「えっ」
コツ、と額と額を合わせられる。
「恋人らしいこと、したいなって思うんだけど」
「…恋人…」
「ダメ、か?」
「ダメじゃない、どこか行きたい…!」
「良かった」
柔く口付けられる。その行為にうっとりと感じながら、ふと今までのことを思い出す。
確かに蓮矢とは恋人らしいデートはしたことがなかった。それはお互いの休みのタイミングが合わなかったり、家で一緒に過ごすだけでも幸せだったからなんだけど……一緒に出かけられるのなら行きたい。
「場所は一緒に決めよう」
「うん!」
楽しみがまたひとつ増えた。むぎゅ、と蓮矢に抱きつくと、優しく背を撫でてくれた。
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