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計画を立てよう(蓮矢視点)
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「蓮矢ー」
にこにこと可愛らしく笑いながら、稔が家を訪ねてきた。大切そうに鞄を抱えている。
「重そうだ」
「あ、えっと、こんなにいらないかなって思ったんだけど、どれがいいか迷って…」
そう言うと、稔は何冊か袋から取り出した。
色とりどりのそれは、旅行情報誌のようだ。
「遠出は出来ないかなと思って、一応都内中心で。俺、あんまり遠くに出かけないから分からなくて。それで友だちにアドバイスもらって、こういうの買うのはどうかって言われたから本屋に寄ってきたんだ…!……って、あ、…何か、ごめん」
「ん?」
「何か、その…楽しみすぎて、はしゃいじゃってるから…」
「楽しみにしてくれてるの、すごく嬉しいよ」
「そ、そうか?」
キラキラした顔で語る稔はいつも以上に可愛い。
俺とのデートを楽しみにしてくれていることも伝わってきて、あたたかい気持ちになる。
「じゃあ一緒に見ようか」
「うん!」
稔の手を優しく引きながらリビングに連れていく。実は休日に家から出ることがあまりなかったから、誰かと遠くに外出するのは久しぶりだ。稔はどんなところが好きなのか気になる…行きたいところに連れていってあげたい。
情報誌をいくつか広げながら、二人で覗きこむ。
明るい色合いで目を引く見出し。美味しそうな料理の写真もある。
「な、蓮矢。その日って、1日一緒にいられる?」
「もちろん」
「そっか!よかった」
楽しそうにページをめくる稔が可愛くて、わしゃわしゃ撫でるとくすぐったそうに首をすくめられた。可愛い。一緒にいればいるほど愛しさが増して、どんどん稔に溺れていっているのが分かる。
「あ、ここの水族館、最近イルカの赤ちゃんが生まれたんだって」
「ああ、テレビでもやってたね」
「遊園地も一緒についてる水族館らしいよ」
「水族館好き?」
「うん、好き。綺麗だよな」
「そうか。じゃあここにしようか」
「蓮矢はここでもいいのか?」
「俺も水族館好きだよ。今度の作品でちょうど水族館の描写があるから、参考にもなりそうだ」
にこ、と微笑むと稔も照れながらはにかんだ。
そっと腰に手を回し抱き寄せる。
「わ、ど、どうしたんだ?」
「…稔が可愛いから」
「も、もう、蓮矢は…すぐ、そういうこと、言う…」
「事実だから仕方ないよ」
ちゅ、と頬に口付けると稔は真っ赤になってしまった。俺との触れ合いにはまだ慣れないようで、いつも初々しい反応を返してくれる。
「蓮矢だって、その…カッコいい…」
「俺が?」
きょとんとしながら聞き返すと、「顔もだけど、中身も…」と言葉を返された。
「カッコいいか…あまり考えたことないな」
「立ち振舞いとかも綺麗だし…あと、仕事中に眼鏡かけたり髪結んでるのも、カッコよくて好き…」
話せば話すほど稔が赤くなっていく。
耳も首筋も真っ赤だ。可愛すぎる。
「稔は俺のこと色々と見てくれてるんだね」
「蓮矢にも色々なとこ見られてるから」
「…確かに稔の体は隅々まで」
「そ、そ、そういうのは言わなくていいからっ」
「はは、ごめん、ちょっと意地悪だったね」
稔はむぅ、とふくれてしまった。そういうところも可愛い。俺にだけ見せてくれる顔。俺の言葉で、行動で、表情がくるくると変わるのが嬉しい。
ごめんね、と言いながら頬を撫でると、すり、と猫のように擦り寄ってきた。
「週末、楽しみにしてるよ」
「…俺も!」
早く週末になればいい。
そう思いながら、俺は優しく稔を抱きしめた。
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