アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
「はじめまして」
-
「初めてのデートのわりには表情固いな」
「き、緊張、しちゃって」
「そっか」
「…心臓飛び出そう…」
「まじか」
秀隆が苦笑しながら、ふと俺の後ろを見る。
俺もつられて振り向くと、蓮矢が缶ジュースを2つ持ちながら歩いてくるのが見えた。
「あ、ごめ…ありがとう、蓮矢」
「大丈夫。……知り合い?」
「あ、えっと、同じ職場の、同僚」
「はじめまして、河瀬 秀隆っていいます」
にこ、と秀隆が微笑んだ。
秀隆は「好きになるのに性別なんて関係ない!」って言ってくれた。俺たちが一緒に居てもあれこれ言わないでいてくれるのがありがたい。
「俺は朝野 蓮矢。はじめまして、河瀬くん」
「稔がこの前からすごくそわそわしてて…朝野さんと出掛けるからだったんですね?」
「…」
「あ、蓮矢、その…秀隆は…」
俺たちのこと知ってて、応援してくれてるんだよ…
と言うよりも前に、目前のグループの一人がこちらを向いて呼び掛けてきた。
「おい、秀。もう次行くぞ…、ん?」
「あ、あれ、滉さん?」
「露原くん? 何で…うおっ、朝野まで!」
「滉も来てたんだ?」
「お、おう…ダチと…」
秀隆がいることに驚いていたのに、滉さんまで。
あ、でもそうか。滉さんと秀隆は知り合いなんだっけ。
「へぇ。滉は朝野さんとも知り合いなんだな。知らなかったなぁ」
「……。…別に、隠してたわけじゃ」
「いや、俺も特別聞いてなかったから気にすんなよ」
「…おう」
滉さんが妙なものを見るように眉間に皺を寄せている。不思議に思いながら見ていると、秀隆が俺の顔を覗き込んできた。
「なぁ、稔、次はどこに行くんだ?」
「え…ああ、イルカのショーがもうすぐ、かな?」
そろりと蓮矢を見ると、チケットを確認していた。
耳に髪をかける仕草もカッコいい…と惚けていると、「…そうだな。そろそろ時間だ」とチケットを見せてくれた。
「お!俺たちと同じ時間だな。じゃあ一緒に行かないか?」
「え」
「…(緊張、少しは和らぐかもよ)」
こっそりと秀隆が俺に小さな声で囁く。
確かに人数が居たほうが緊張しないかもしれない…
どうしたものか…と、蓮矢を見ると「稔が決めていいよ」とわしゃわしゃ撫でられた。
緊張をほぐそうとしてくれるなんて、秀隆は本当にいい奴だ。イルカショーの間だけ秀隆の申し出を受けよう。それで少しでも蓮矢といつもみたいに話せるようになれるといいな…。
「じゃあ、よろしく。稔、朝野さん」
秀隆が人好きのしそうな笑みで、俺と蓮矢を見た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 103