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宣戦布告(蓮矢視点)
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はしゃぐ稔が可愛くて、それと同時に不安になった。
「…滉、河瀬くんってどんな子?」
結局イルカショーのあとも河瀬くんたちと回ることになり、二人きりの時間がなくなってしまった。稔が緊張していたのは知っているし、少しでも強張った表情が和らげば…と思っていたけど。
稔が売店でお土産を見てる最中、滉を捕まえて質問をする。
「どんな…って、まぁ、あんな感じ…」
「だいぶ俺のことが嫌いみたいだけど」
「……そうか?」
「あんなにあからさまに敵意を向けられたのは初めてかもしれない。笑ってるように見えるけど、まず目が笑ってないし。彼、稔のこと好きなんだろうな」
「どうだろう、な…?」
滉が困ったように目をそらした。
分かってる、滉に言っても仕方のないことだ。
「稔は魅力的だから…心配だ」
「まぁでも、露原くんは朝野のこと好きなんだろ?」
「そうだな。好きで居てくれてる…ただそのせいで緊張してるみたいだ」
俺を意識してくれる稔は本当に可愛らしくて、外だというのに抱きしめたくなる。手を繋いで、抱きしめて、キスをして…それから…と、稔をそばに感じたいという欲求が沸き上がってくる。
…稔はどう思っているんだろうか。
「…ごめん滉。こんなこと言われても困るよな」
「いや、俺は別に…」
「奏太に怒られそうだ」
「………奏太は関係ねーじゃん」
滉がむすっとした表情になる。
もっと素直になればいいのに、と思いつつ奏太と滉の関係については口出しはしない。たぶん、二人には二人なりの距離感があるんだろう。
「稔のところに行ってくる」
「おう」
稔の元へ歩み寄ると、案の定河瀬くんがそばにいた。さっきまで違うところに居たと思ったんだけど。
「稔、お土産何かあった?」
「あ、蓮矢。うん、とりあえず職場にお菓子。俺、よくわかんないから秀隆に聞いてた」
「ま、数がそこそこありゃいいかなーって」
にこー、と笑ってるけど、ほらやっぱり目が笑ってない。俺への敵対心で溢れた瞳。
「…俺も一緒に選ぶよ」
「そ、そっか。じゃあ…その、蓮矢の家で使えるやつ、とか…買ったりしたい、な…」
うっすらと赤くなりつつ微笑まれ、可愛さにくら、と眩暈がした。稔は、自分の仕草で俺の感情が揺さぶられることを知っているんだろうか。
「日用品ってことか? じゃああっちのコーナーかもな!」
河瀬くんがぐい、と稔の手を引いた。
他意がありすぎるその行動に、さすがにイラッとした。
「…ひ、秀隆、その、手…」
「ん?ああ!ごめん、ついテンション上がっちゃって」
ぱ、とすぐに手を離したが、苛立ちは募る。
「つい」で手を握るなんてどういうことだ。
でもそんな苛立ちを稔に知られたくなくて、ぐっと我慢する。
稔が視線を外した瞬間、表情が消えてこちらを見据えてくる河瀬くんの宣戦布告とも捉えられる視線を受け取った。
…稔は渡さないからな。
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