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板挟み(滉視点)
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朝野と露原くんが付き合ってるのは知ってる。
奏太に色々説明されて、まぁ露原くんが大変な目にあったことも知ってる。とりあえず奏太には「お前は個人情報ペラペラ喋りすぎだ」と鉄拳制裁加えといた。
可哀想だから露原くん本人には、細かく話を聞いたことは黙ってる。
…と、いうよりも。
俺は今のこの状態の方が可哀想な気がしてきた。
目の前で繰り広げられる修羅場にげんなりしてる。
秀のことだ、きっと露原くんがここに来るのを事前に知ったんだろう…。
さらに言うと、俺も巻き込まれてるんだから事態はわりと最悪だ。
「滉、どうしたんだ? そんな難しい顔して」
「…秀」
こんな顔させてんのはお前だからな?!という言葉は飲み込んだ。言ってしまったら後が怖い。
朝野と露原くんは食器類を見てるようだ。秀は、その二人を距離を置きながらも射抜くように見つめている。
「お前ってさ、結構露骨だよな…」
「何が?」
「露原くんといる時、今まで見たこともねーような甘ったるい笑顔見せてて驚いた」
「そうか?」
にこにこと若干の営業スマイルが入った表情で見つめられ、眉間に皺を寄せてしまった。
「秀の面被った別人かよって思った」
「何だそりゃ。滉はたまに変なこと言うよなぁ」
実際驚いた。いつも他人に対しては当たり障りのない笑顔で接してたくせに、露原くんを前にすると極上な笑みですっげぇ幸せそうなオーラ出してる。
お前、誰? って感じ。
「なぁ、滉。俺さ、好きな子が出来たんだ」
「…え、今さらそれ言う?」
「滉は俺の恋、応援してくれるよな?」
「いや、だって露原くんはさ…」
「なぁ、…滉」
「む、無理だっての」
「滉の恋も応援するよ?」
「……、奏太のこと言ってんなら、違うから。あいつとはそんなんじゃない」
「ふーん?」
「何だよ」
「ま、いいや。滉は俺の味方だって信じてるからさ」
秀は鼻歌混じりに露原くんたちの元へ戻っていった。とりあえず邪魔すんなって釘を刺しにきた感じか。
…。
そういや、今日出かけること、奏太に言ってなかったな。いやまぁ、言う必要ねーけど。
おもむろにスマホを見る。
「…、…、…?何だ、着信…」
マナーモードにしてたから気づかなかったようだ。
画面に映し出されているのは、『奏太』の文字。
ってか…
「…こっっわ!!」
何だ着信100件って?!3桁?!
メールもSMSも大量に届いてる。どれもこれも『今どこにいるの』『何で電話出てくれないんだ』『連絡がほしい』と短文なもので、欄を埋め尽くすようにずらりと並んでいる。
「…やべぇ、人の恋路に巻き込まれてる場合じゃねーな…」
ため息混じりにそっとスマホの電源を落とした。
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