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俺を見て① (河瀬視点)
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腹が立ってしょうがない。腕時計を見る。今頃稔は朝野さんと退園してしまっているだろう。せっかく合流したのにまるで意味がない。
俺の計画を見事にぶち壊してくれた相手をちらりと見る。萎縮してるみたいだけど、だったら来るなよ、と思う。そもそもどうして「こいつ」はここにいる?
「ストーカーかよ」
「そ、そんなつもりはなかったんスけど…」
怯えながら、そいつ…城戸は目線を落とした。
ー1時間前
「じゃ、じゃあ買ってくる!」
そう言って稔はレジへと小走りで向かった。可愛いなぁと思いつつ後ろ姿を見送る。
隣を見ると、朝野さんもじっと稔を見つめていた。
「朝野さんって、稔とはいつ会ったんですか?」
「…小学生の時だよ」
「あ、じゃあ結構長い付き合いなんですね」
にこりと微笑むと眉を寄せられた。
ま、別にこの人と仲良くなりたいわけじゃないからいいけどな。
「色々と邪魔してすいませんね」
「…。稔が落ち着いて回れるならそれはそれで構わないよ」
「へぇ、大人」
「君は露骨だね」
滉と同じ事を言われてしまった。
確かに俺は今までにないくらい稔を手に入れることに必死だ。まさか好きな子の彼氏に喧嘩売る日が来るなんて思わなかった。
「だって、好きな子には振り向いてほしいじゃないですか」
「稔は君には振り向かないよ」
「余裕だなぁ。余計崩してやりたくなる」
「稔に何かしたら、後悔すると思うけど」
「こっわ。何されるんですか?」
「君みたいに暴力は使わないさ」
「はは、何それ、どこまで知ってるんですか?それともカマかけてます?」
「ある程度は知ってるよ」
つまり、稔を散々な目にあわせた奴が城戸だということも、俺が城戸を病院送りにしたことも、これは絶対知られてるんだろう。
「ま、俺はあの馬鹿みたいに暴走したりしませんけどね?」
「…」
さて、稔が帰ってきたら今度はどう二人の仲を邪魔してやろうかなぁと考える。
だけど、
「あの…っ!河瀬、先輩」
「ん?」
不意に話しかけられ、振り向く。
一瞬、戸惑う。
「…お前何でいんの、城戸」
びく、と城戸は怯えるように俺を見た。
ほんと、何でここにいる。こいつ馬鹿なのか。
「た、たまたま…河瀬先輩を見つけて…、あ、すいません、お友達の方っすか?」
「…。河瀬くんの知り合い、かな? 俺は先に店を出ているから」
「あ、ちょ、」
「河瀬先輩、俺、話が、」
「は? 何でお前の話なんて聞かなきゃいけねーんだよ」
ぐたぐだと話す城戸の相手をしていたら、朝野さんを見失った。あとから合流した滉から「あのさ、朝野たち先に帰るって」と聞いて、逃げられたことを知った。
そして、今。
怒りが収まらない俺と、何も喋らねぇ城戸、板挟みで可哀想な状況の滉、の3人で飯を食っている。
ああ、ムカつく。全部城戸のせいだ。
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