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俺を見て② (城戸視点)
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高校時代。
俺はいわゆるはみ出しものってやつで、頭悪ぃし、喧嘩っぱやいし、親も教師も期待なんてカケラもしていなくて、俺のことは放置していた。
で、「じゃあ好きに生きるか」と最初に髪を染めた。あとタバコも酒もやったし、同じような連中とつるんでみたり、女を引っかけたり、他校の奴らと喧嘩したり…まぁ、馬鹿やって暮らしてた。
その日も他校の奴らと喧嘩してたんだけど、人数呼ばれて囲まれて、相手は鉄パイプとか持ち出してきて、いつの間にか俺だけがボコられていた。一緒にいた奴らはとっとと俺を置いて逃げたらしい。まぁ、友だちでも何でもない、たんにつるんでただけの奴らだったから当然といえば当然だ。
さすがにこれは死んだかもなって頭のどこかは冷静で。こんな終わり方が俺らしいんじゃねーのと諦めていたとき、だった。
俺をボコってた一人が横に飛んだ。つーか、飛ばされた。
「よってたかって弱いものイジメかよ。ダセぇ」
「あぁ?!何だてめぇ、こいつの知り合いかぁ?!」
「知らね。でも俺は今虫の居どころ悪ぃんだわ。てめぇら鬱憤のはけ口になれよ」
「はぁ?!一人でイキってんじゃねぇよ!」
あ、と思った瞬間には鉄パイプを持っていた一人が鳩尾に蹴りをくらっていた。周りの奴らは突然現れた男に面食らっていたが、状況が理解できたのか、ぐるりと男を囲んだ。
男は…俺と同じ制服だった。でも、学校なんてほとんど行ってねぇから、同じ学年なのか、年上なのか、年下なのか分からなかった。
分かるのは顔が整っていることとか、ピアスとか指輪が下品じゃない程度に身に付けられていて、いわゆる「真面目な学生」には見えないことくらいだろうか。
そして、
「っかは!」
「よっわ。束でかかってきてこれかよ」
喧嘩がすごく強い。
落ちていた鉄パイプでいなしたり、足ひっかけたり、かと思えば素手で相手を投げ飛ばす。
カッコいいと思った。
「おまわりさーん!こっちで喧嘩ー!」
「やべっ」
遠くから聞こえてくる声で、その場にいた奴らは散っていった。俺も逃げようと思ったけど、体が動かせなかった。
「ったく…秀、喧嘩売るなんてらしくねーじゃん」
「ムシャクシャしたんだよ」
「はぁ…、んで、こいつは?」
「知らねー。ボコられてたみてぇだけど。興味ねぇな。俺帰るわ」
「こいつ放置かよ?!」
「滉に任せる。よろしく」
「いや、任されても困るっての!」
秀、と呼ばれたその人は俺に一瞥もくれることなく去っていった。呆けていると、俺の上に影がひとつ落ちた。
「おーい、生きてるかー」
「…いき、て、る」
「そりゃよかった。自力で帰れるか?」
「…」
「ん?おい、聞いてるか?」
「…」
「えー…どうするよ。こら、寝んな。起きろ。おーい、おーい?!」
その日の、そこから先の記憶はない。
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