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俺を見て③ (城戸視点)
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俺がボコられて気を失ったあと、滉さんが自宅で傷の手当てをしてくれた。滉さんちはすげー金持ちで、何か執事っぽい人が治療してくれた。
「応急措置だからな。あとで病院行けよ」
「すんません…ありがとうございます」
「ま、秀が助けてくれて良かったな」
「ひで…」
「あいつの名前な。河瀬 秀隆。今度会ったらとりあえず礼は言っとけ」
「はい。あ、えっと、…」
「俺は立山 滉。呼ぶときは下の名前で呼べ。名字出すと周りがうるせーから」
どうやら滉さんはあまり家のことを持ち出されたくないようだった。
*
翌日。珍しく学校に登校した。周りの連中は驚いていたり、嫌なものを見るような目で見てきたりしたけど、そんなもんどうでもよくて、とにかくあの人に会いたい気持ちで溢れていた。
俺を助けてくれた人。河瀬先輩。
「……はー…」
で、探したけど結局見つからなかった。
そもそも学校に来ていなかったらしく、途中でフケることにした。
ぼーっとしながら町を歩いていると、ふとすれ違った人に目がいく。
「…あ!」
そして、咄嗟にその人の腕を掴んでいた。
私服だったけど、分かる。この人は、
「河瀬先輩!」
「…、…は?誰?」
怪訝な顔をされてしまった。
まぁ、急に掴まれたらそうなるよな。
「あ、あの、俺…、昨日の礼が言いたくて」
「昨日…?」
「俺、喧嘩してて、助けてもらって」
「…あー、あのボコられてた奴?」
「そ、そうです」
「別に礼なんていいよ。俺がムシャクシャしてて暴れたかっただけだから」
「でもおかげで助かったんで」
「あ、そ」
喧嘩してる最中はギラついた目で相手をぶん殴ってたけど、こうして話してみると河瀬先輩はクール、というか、ドライ、というか…冷めたような人に見えた。
「知り合いか?」
「え? ああ…いや、知り合いってほどでもないけど」
「んじゃ、早く行こうぜ」
「あぁ。…じゃーな、ボコられ君」
「あ、」
河瀬先輩は一緒にいた男(いまいち年齢はわかんなかった。同年代か?)と去っていった。
…。
あとから滉さんから聞いた話だと…たぶん彼氏だったんだと思う…。
俺と河瀬先輩の出会いはそれで終わって、そこから会うことなんてない、はずだった。
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