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後味が悪いから(河瀬視点)
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稔から可愛くお願いされたら断れないじゃないか。
何より俺を頼ってくれたことが嬉しいし、仕事が終わったあとも長く一緒にいる口実になるし。
いいことだらけだ。
この馬鹿が関わっていなければ。
「…、っげほ、ごほ…」
「おい、起きろ。いい加減起きろこら」
稔の元に届いたのは…
「あ、れ…?なんで、河瀬先輩が…」
「…」
この大馬鹿野郎の城戸からのメールだった。
短い文で二言。
『しぬ。たすけて』
それだけが稔の元へ送られてきた。
稔は優しいから、このアホからそういうメールが来たら放っておけなくなったらしい。でも怖いから俺に一緒に来てほしいと。(もちろん「怖いから」ではなく、「何かと人手が必要かもしれないから」と言われたけど)
最初は様子を見に行くだけの予定だったみたいだけど、家についたら、呼んでも返事ないし、暗いし、鍵空いてるし。本格的にやばいのかと、稔が心配して飛び込んだ。
可愛い稔を怯えさせて、なおかつ心配をかけたんだ。有罪確定。あとで覚えてろよ、城戸。
あと、
「せんぱ、もごっ!」
「……。…いいか、城戸。俺とお前は赤の他人だ。今日が初対面だ。はじめましてだ」
「もご、もご」
「分かったな?分かったよな?いくら馬鹿なお前でも理解できるな?分かったんなら頷け」
城戸が口を押さえつけられながら、弱々しく頷いた。俺が城戸の知り合いだなんて稔に知られたら、今までみたいに話してくれなくなるかもしれない。稔にとって城戸は、最低最悪の性犯罪を犯したとんでもない奴。そんな奴と爽やかイケメン(だと稔は思ってるらしい)な俺と接点があるなんて、絶対知られたくない。
「ごめん秀隆、買ってきたよ」
「お疲れ。城戸くん、目が覚めたよ」
稔は近くのコンビニと薬局に行ってくれた。
薬にマスクにのどあめに、食べやすいもの、スポーツドリンク、…何か色々。
そう。
この馬鹿は、ただの風邪だ。
「そ、そっか。よかった。…大丈夫か、城戸?」
「…しにそう……つーか、しんでもいい…」
「えっ?!そんなに悪いのか?!」
ぎょっとして稔が城戸を見る。
城戸は両手で顔を覆って何やらもごもご言っている。
違うんだよ、稔。こいつは俺が近づいてちょっと触ったからって赤面してるだけなんだ。
ああ、ぶん殴りてぇ。
とりあえず、可愛い稔と一緒にいられることだけを考えよう。
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